ポール・ライアン米下院議長が、トランプ陣営に強烈な一撃を与えました。
共和党議員とのカンファレンス・コールにて10日、共和党の正式な大統領候補であるドナルド・トランプ氏を擁護しない立場を明確にしたのです。第1回討論会での言動や女性への侮蔑発言が暴露されるなど向かい風に直面するなかで民主党のクリントン候補がリードを拡大中。第2回討論会直前に実施されたNBC/WSJの世論調査では、トランプ候補の赤裸々な会話が嫌気され52%と38%と14ポイントもの差をつけられました。
各世論調査の平均では、6.5ポイント差を示す。
(出所:RealClearPolitics)
さらにオバマ米大統領の支持率に至っては2期目としては過去最高の55%を記録しましたよね。上院だけでなく下院での過半数獲得に暗雲が垂れ込めつつあるリスクを重く受け止めたのか、ライアン下院議長は米下院選に集中するといいます。
同下院議長は共和党の正式な米大統領候補に対する支持を撤回したわけではありませんが、トランプ氏は不快感を表し「共和党候補者との戦いに時間を浪費せず、財政均衡や雇用、違法移民などの仕事に使うべきだ」とツイートしていました。一夜明け11日のツイッターでは、珍しく「第2回討論会において(全ての調査で)地滑り的勝利を飾ったとしても、ポール・ライアンその他のサポートが全くない時にうまくやるのは難しい」と弱音を吐いてたように受け止められますが、ダメージが効いているのでしょうか・・・と思ったら、共和党に向け烈火の如き怒りを込めたメッセージを連打していました。さすがです。
副大統領候補の取り下げが懸念されていたインディアナ州のペンス知事はというと、噂を否定しました。しかし、2008年の大統領候補だったジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州)や共和党上院ナンバー3のベン・サッセ上院議員(ネブラスカ州)、さらにコンドリーザ・ライス元米国務長官、アーノルド・シュワルツェネッガー元カリフォルニア州知事など著名人も不支持を次々に表明済み(リストはUSAトゥデー、クオーツ、ザ・ガーディアンなどをご覧下さい)。米大統領選まで1ヵ月を切ったこのタイミングで共和党内に入った深い亀裂は、逆にトランプ支持者の結束を固めるのでしょうか。
(カバー写真:Neon Tommy/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年10月11日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。