「日本と世界がわかる 最強の日本史」を「世界と日本が分かる 最強の世界史」に続いて扶桑社新書から出版しました。二ヶ月ほど世界史が先行していますが、ほぼ同時に刊行できたことはうれしいです。少なくとも、新書については日本の出版の歴史で同じ著者が同時に世界史と日本史の両方を書いたのは初めてだと思います。
実のところ、世界史と日本史のどちらかなら出すとか、片方の売れ行きをみてからという出版社が多かったのです。それを、片方だけならとか、売れ行きを見てからでは嫌だと何年も突っぱねてきたところ、やっと扶桑新書の枠で育鵬社からだしてくれたものです。
もっとも、世界史はすでに三刷りになっていますから売れ行きも好調です。
世界史とか日本史の通史は歴史の全体像を知るために不可欠ですが、日本ではなぜか一人で書くことは少ないのです。それぞれ分野や地域の専門家が書いたもののオムニバスであることが多いのですが、そういうのは、全体を通じての歴史観がないので面白くもないし支離滅裂です。
また、違う人が書いた日本史と世界史を読んでも、それをどうつないで良いか分かるはずがありません。もちろん、ディテールの正確性についていえば、それぞれの専門家が書いた方が井伊に決まっていますが、一人で一気通貫に同時に書くことの良さは絶対にあるはずです。
ところで、今回の日本史のほうの帯にはキャッチフレーズが書かれています。それを解題したいと思います。
まず、「世界を納得させ中韓を黙らせる日本国家の正史」・・・出版社が保守派の歴史教科書を出している育鵬社なのですが、内容は保守派の日本史とはだいぶ違います。なぜなら、この本の趣旨は日本人だけで盛り上がることでなく、世界を納得させることだからです。
「正史」だというのは、日本列島という地理区分でなく、日本国家というものを意識した歴史観を確立する必要があるということなのです。日本国家の利益を最大限に実現するための理論武装をしたい。
日本が世界に訴えていくべき歴史観は、欧米など世界が納得する限度において国益を追求したものであるべきです。中国や韓国の賛同は得られそうもありませんが、反論しにくいものであれば良いと思います。
次に「古代朝鮮は日本より先進地域ではなかった」ですが、たしかに、古代日本は朝鮮半島を経由して大陸文明を受け入れましたが、その担い手はそこに住む漢人たちでしたし、稲作文明が大きく花開いたのは日本の方が先でした。韓国が兄で日本が弟ではなかったのです。
戦後流行した日本国家や日本人が半島から学んだという話は嘘ではありませんが、実は半島に住んでいた漢人からだったということが忘れられていたと思いますし、半島で先進的だったのは漢人が多く住んでいた中部以北で南部ではありません。
「日清・日露戦争は米英からも支持されていた」とは、大正までの日本は米英という先進文明国の支持のもとに外交と軍事作戦を展開していたのであって、少なくとも彼らから非難されるべきことはしていなかったことを確認したいと思います。
日本の行動に問題が多くなったのは少なくとも満州事変以降であって、それまでは、日韓併合なども含めて、米英の支持のもとにしたことですから、少なくとも米英から悪くいわれる筋合いでないと思います。
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