マイナンバーで運用するオーストリアの電子健康記録システム

オーストリア政府が電子健康記録システム(ELGA)を今春全国的に導入すると、欧州委員会サイトが報じている。ELGAは電子健康記録を使用して健康医療介護を効率化するシステムである。2005年健康テレマティクス法によって着手され、2013年ELGA法によって法的根拠が与えられた

一人ひとりの医療記録などは、さまざまな医療施設で電子健康記録として作成される。ELGAはこの電子健康記録をネットワーク化して、患者本人と患者を治療する医師・病院・介護施設・薬局に提供する。ELGAによって患者は自己の状態が把握できるようになり、同じ種類の検査は重複されない。医師は診断や治療のための重要情報を迅速に容易に入手できる。全体として時間や経費が節減でき、患者の安全性が高められる。

市民カード(オーストリア版マイナンバーカード)の電子IDで認証すれば、ELGAにある自分の電子健康記録にアクセスできる。市民カードは携帯電話でも代替できる。ELGAの電子健康記録は本人と、現在の治療に関係している施設だけでアクセスできる。一方、行政当局や保険会社はアクセスできない。

オーストリア政府は当初、昨年、ELGAを全面導入しようとしたが、コンピュータシステムが時代遅れで安全性に疑問があると医師が反対し、保健省が改善を進めてきた。そして、ついに全国展開に動き出したのである。