国民の理解の下での共謀罪関連法案の修正へ何をすべきか

共謀罪廃案を訴える市民団体の集会で訴える、民進党の有田芳生・ネクスト法相(民進党サイトより:編集部)

民進党の皆さんには、まずはしっかり質疑をしていただいて政府提出の法案の問題点を存分に明らかにしていただきたいと思う。

物事に完全とか完璧ということはない、というのが私の基本的なスタンスなので、完全でないとか完璧ではないという理由だけで反対と言ってしまうと、反対のための反対だろうと見做されてしまう。

不具合のところを如何に的確に、しかも早く見付けることが出来るかが問題である。
今回に提出された共謀罪関連法案が従前の政府案よりは進歩していることは認められた方がいいだろう。

何で対象犯罪を限定したのか、これまで出来ないと言っていたのは間違いだったのか、などとネチネチと攻撃しても、多分糠に釘だろうと思う。元々の政府原案にはなかったのだが、実は10年前に既に共謀罪関連法案についての考え方は転換していたのである。

それを公式に表明する場がこれまではなかった、ということだろう。

いわゆる共謀罪の対象犯罪が限定されたことが問題ではなく、現在の限定で足りるのかどうか、テロ等対策のための法案だと言うのなら、もっと絞り込むことが出来るのではないか、という観点からトコトン議論を進められるのがいいはずだ。

10年前の自民党法務部会内条約刑法検討小委員会の案では、法律の運用の適正化を担保するために「運用に当たっての留意事項」を明記することにしていた。この通常国会に提出された共謀罪関連法案にはその類の配慮がまったくないことが、多分この法案の最大の問題点だろうと思われる。

少なくとも、私の立場から言うと、この政府案は国会での修正を予定している案である。

反対のための反対に終始して政府案の問題点について殆ど触れないでいると、結局は何等の修正も施されないまま政府原案がそのまま可決成立することになる。

問題点について十分議論されて、少なくとも問題点についての認識が国会議員の間に共有されていれば、法案が可決成立してからも事後的に何らかのチェック機能が働き運用の適正化が図られる可能性があるが、十分な審議がなされないと問題点が伏在したままで終わる虞がある。

政府提出の法案について与党である自民党や公明党の委員の方から問題点の指摘がなされることはないだろうから、野党の皆さんの責任は重大である。

維新の方々は修正を求めておられるようだから、多分それなりに修正協議が進むと思うが、やはり大事なのは野党第一党の民進党の皆さんである。皆さんの問題提起や質疑が国民の共感を得るようであれば、自民党の委員も公明党の委員も修正協議には前向きになるだろうと思っている。

運用の仕方によっては、確かに危ない法律になる虞がある。
その危ないところをどうやって取り除いていくか、どうやって少なくしていくか、という工夫をするのが国会議員の役割だろうと思う。

今の日本の政治状況は、どうもその機能が全体として低下しているように見えて仕方がない。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年4月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。