日本時間の21日から2日間開催されたワシントンのG20では為替等に対して新たな材料は出なかった。為替についてはこれまでの原則を確認するに止め、深入りを避けた格好となった。前回はムニューシン米財務長官が「保護主義への対抗」の文言を共同声明から外すよう強硬に主張し、これを受け文言が削除された。しかし、今回はムニューシン財務長官は静かであったようである。
4月23日には注目のフランス大統領選挙が実施された。かなり混戦状態となっていたことで、5月の決選投票がどの組み合わせとなるのか。それ次第では週明けの東京市場が波乱含みの展開となる可能性があった。フランスの内務省によると、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン元経済産業デジタル相(39歳)が得票率で首位、極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首(48歳)が2位につけたようである。急進左派・左翼党のメランション氏とルペン氏という最悪の組み合わせは回避されたことで、金融市場ではリスク回避の反動のような動きとなり、円安が進み、週明け24日の東京株式市場は買いが先行した。
先週末のG20には日銀の黒田総裁も出席していたが、今週26、27日には金融政策決定会合が開催される。しかし、日銀への注目度はあまり高くはない。今回も金融政策の現状維持が予想され、国債の80兆円という数字も残されるものと予想される。今回は展望レポートも発表されるが、今年度の物価上昇率見通しを小幅下方修正する可能性がある。これもある程度想定済みか。
債券市場関係者は28日の夕方に発表される「当面の長期国債等の買入れの運営について」の方を注目するかもしれない。5年超10年以下の減額の可能性も全くないとは言えない。
国債の入札は25日に流動性供給入札、28日には2年国債の入札が予定されている。こちらは特に問題はなさそうである。日銀による国債買入は24日に中期と長期ゾーン、26日に中期と超長期ゾーンが予定されている。ゴールデンウイークを控え、次の利付国債入札は5月9日の10年債となるため、連休前のポジションの積み上げの可能性もあり、北朝鮮を含めて何かしら予想外の事態等が出なければ、債券は底堅い展開が予想される。フランス大統領選挙の結果を受けたリスク回避の反動の動きから、27日の債券先物は売りが先行したが、下値も限られたものとなりそうである。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年4月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。