「ロボットに仕事を奪われる」はネガティブな発想

日本経済新聞は「わたしの仕事、ロボットに奪われますか?」というツールを公開した。フィナンシャル・タイムズと共同で開発したそうで、業種と職業を入力するとロボットに代替される確率が表示されるようになっている。

業種「オフィス・業務補助」職業「記録係、スケジューリング係、派遣係」では確率は59.3%になる。業種「法務」職業「弁護士、判事、関連従事者」なら21.7%だ。「わたしの仕事、ロボットに奪われますか?」というネガティブな問いかけで高い確率が表示されれば、失業の不安が頭をよぎる。

しかし、これは本当に不安なことなのだろうか。

国立社会保障・人口問題研究所による『全国将来人口推計の結果』(2017年4月10日発表)によれば、15歳から64歳までの生産年齢人口は、2015年の7728万人が2065年には4529万人まで減少する(出生中位・死亡中位の推計)。15歳からというのは義務教育終了とともに生産活動に従事するという仮定によるものだが、実際に働き始めるのは20歳過ぎだ。この推計には外国人労働者の増加トレンドなども入っており、移民政策の激変などがなければ推計通りになる可能性は高い。

ザクッと言えば、2065年には生産年齢人口は実質的に半減する。

それでも国力を維持発展させるためには、ロボットにできる仕事はロボットに委ねたほうがよい。「わたしの仕事、ロボットに奪われますか?」というツールは、ロボットに奪われない仕事を探すために前向きに利用すべきだ。そうすれば、失業の不安という暗さも就業の機会という明るさに変わる可能性がある。

「デジタル社会における楽しい働き方」公開シンポジウムでも話題になったが、単純作業はロボットに任せ、人間は創造性や協調性が重視される楽しい労働をすればよい。ロボットの発展は、わが国の未来にさす明るい兆しである。