トランプ米大統領の支持率、コミー前FBI長官の解任劇は影響薄?

安田 佐和子

持つべきものは友であり、熱烈な支持者ですね。

NBC/ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が5月11~13日に800人を対象に実施した世論調査では、米連邦捜査局(FBI)のコミー長官解任劇はトランプ米大統領の支持率に大きな影響を与えませんでした。支持率は39%と、4月の40%から若干低下した程度です。2月の44%を大きく下回るものの、「土曜夜の虐殺」を彷彿とさせるFBI長官更迭はほぼノーダメージ。鉄壁の支持線40%を若干下回った程度でした。

ただし、ご存知リアルクリアポリティクスでみた世論調査全般の数字でみるとトランプ米大統領の不支持率は13日時点で53.4%と過去最悪を更新しました。保守系が多いWSJ紙読者の思想を反映し、支持率の影響が限定的だった可能性を残します。

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(出所:RealClearPolitics)

話をNBC/WSJの世論調査に戻して。

コミー前FBI長官の解任を支持するか否かの問題になると、話は変わります。“支持”は29%にとどまりました。ところが、最も多いとはいえ“不支持”は38%ですから国民を敵に回したというほどでもありません。“意見ができるほど知らない”も、32%に及びます。ただ印象として、“良好ではない”との回答が60%と過半数を占めました。

もちろん、党派によって回答の内容は大いに異なります。

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(作成:My Big Apple NY)

ギャラップが5月10~11日に行った世論調査では、コミー前FBI長官の更迭に対し“支持”が39%で“不支持”が46%で“支持が”が比較的高い状況です。ただし、1993年にクリントン米大統領(当時)がセッションズFBI長官を解任した当時はというと“支持”が44%と“不支持”の24%を大きく上回っていました。

米5月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は2000年以降で2番目の高水準でしたが、コミー長官解任のニュースは確報値で影響を与えないとも限りません。特に税制改革や医療保険制度改革(オバマケア)の協議を遅らせるようであれば、尚更です。

オバマケア撤廃・代替案と言えば、悪いニュースが飛び込んできました。NBC/WSJの世論調査にもう一度視点を戻すと、共和党主導の代替案に対し“支持”が23%にとどまり“不支持”が48%と半数近くに達しています。特に、民主党寄りの“不支持”が77%と大勢を占めました。共和党寄りの“支持”は55%と過半数を超えており、党派間の違いは明白です。無党派層は“支持”が18%、“不支持”が44%でした。メディケイド拡充の撤廃や税控除など、低所得者層にしわ寄せがいくリスクが嫌気されたとみられます。中間選挙を控えるだけに共和党上院がオバマケア代替案を中立方向へシフトできるのか、お手並み拝見ですね。

(カバー写真:Gage Skidmore/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年5月15日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。