新党ブーム、劇場政治に熱狂しない

衆議院選が近づいてきた。日々、バタバタが伝えられる。こういう時こそ、落ち着いて考えたい。

43年も生きていると、何度か新党ブームや、劇場政治などを体験してきた。あの熱狂は何だったのだろう。もっとも、だからといって、「やっぱり自民党ですな」と考えろと言っているわけではない。こういう時こそ、人類の歴史を振り返りつつ、冷静に考え、一市民として誇れる投票をしたい。

あらためて、選挙のための政治だなと思う。選挙でウケそうなこと、スタンスやポジションの違いが明確にできそうなことが優先される。公約は何度も覆され、書き換えられる。そういうものだとついさめた視点で考えてしまうのだが。

選挙の票読みについては、メディアや調査機関が世論調査や、統計などを駆使して分析しようと試みる。一市民としては、何を調べれば良いだろう。こういう時こそ、人文的なアプローチが必要だと考える。歴史を知り、文化を学ぶ。世の中の文脈を読む。その政党や政治家が何を大切にしてきたのか。人間として信用できそうか。もちろん、印象だけで捉えてはいけない。彼らが積み重ねてきたことを読み解くのだ。もっとも、そこまですると疲れてしまうのだけど。採用活動と一緒だ。その人は、何を大切に生きてきたのか。自分は何を大切にしてきたのか。そういうことまで踏みにじられて世の中は進んでいくのだけど。

民主主義においては、対話すること、違いを理解すること、少数意見を大切にすることが大事である。単なる多数決だけが民主主義ではない。もちろん、選挙のたびに、そのような民主主義は日本に一度たりともあったことがあるのか怪しくなるのだが。

選挙は数週間だ。実際の政治はその後の方が長い。この期間に自分自身も何を大切に生きてきたのかを問いかけつつ、考えることにしよう。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年10月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。