記者から評判の悪い企業や人というのが存在する。取材して頂いた記事の事前開示を求める人たちだ。世間知らずのバカだ。いつの間にかメディアに嫌われる企業や人になってしまっているので、やめた方がいい。
広報活動と広告は違う。記事を書いて頂くのは記者なわけで。いかに誤解なきように伝えるか、切り取られてもOKだと腹をくくるか。この辺が大事だとも思うのだ。
もっとも、気持ちは分からなくはない。たしかに、たまに劣化した記者という人たちに遭遇したりもする。そういう人たちにいい加減なことを書かれたり、文脈に勝手にのせられたりということもあるだろう。自社や自分を守るために、正確にに情報を伝えたいという気持ちも分からなくはない。
ただ、そういう人たちにもわかりやすく伝えるのが、広報の仕事ではないか。まあ、中には明らかに難しいテーマというものも存在するが。これをわかりやすく伝えるのもまた論者の仕事だ。自分のブログじゃないんだからな。
私は先方が見せてくる以外は、原稿チェックを要求しない。いや、企業で広報をしていたことがあるのだが、それが当たり前だったからだ、当時は。自分が発信したいことではなく、記者が捉えたことの方が世間に伝わる場合だってあるし。もちろん、こちらの意図もある。そのために、事実を積み重ねていく。ひどいことを書かれたら、説明する、と。
会社員時代に、偶然担当した仕事に感謝している。合弁会社立ち上げで、トヨタとリクルートの広報に揉まれてそだったので。前者は日本最強の広報の一つだった、当時は少なくとも。後者は、リクルート事件や、巨額の有利子負債、当時の株主ダイエーの問題など、リスクがてんこ盛りだったので、その対応に長けていた。そんな中で企業イメージを上げていく努力もしていたし。
というわけで、ベンチャー企業のアホ経営者、バカ広報、さらには売れない論者たちにこういう「原稿を必ずみせろ」攻撃は顕著だが、未熟なことの証明だから、やめた方がいい。ストロングスタイルの広報力を身に着けよう。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年10月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。