筆者の周囲で、めでたく結婚する方々が増えております。この1週間で、何と3組にのぼりました。たまたまなのでしょうが、たまげました。
さらに驚いたことに、3組全員が結婚相談所を介した出会いでした。なぜ衝撃を受けたかと申しますと、NYでは筆者が米国を離れる直前の2014~15年にかけて結婚した夫婦のほとんどがネットで出会っていたのですよ。オンライン・デートと言えば1995年に産声を上げたマッチ・ドットコムをはじめ、2000年代にはOKキューピッドが誕生し、出会いの可能性を大いに広げました。2012年には近所のシングルと簡単にコンタクトできるティンダーが登場し、大いに話題を呼んだものです。
そのティンダーと言えば世界で5,000万人の利用者に及び、1日当たり1,200万人がマッチするといいます。対象者を左にスワイプして探していき、好みのタイプを右スワイプして相手も気に入ればカップル成立というお手軽さから、この高水準を誇るのでしょう。フェイスブックに「あの時、右にスワイプして僕たちは出会った」と投稿し、ティンダーがきっかけ婚約したと明かすカップルもいましたっけ。
ピュー・リサーチ・センターが2015年4月に発表した調査によると、米国でネットの出会いで結婚あるいはドメスティック・パートナーに至った割合は5%。まだまだ少ないように見えます。しかし、英国のエセックス大学のジョスエ・オルテガ教授とウィーン大学のフィリップ・ヘルゴビッチ教授が調査を実施したところ、足元でネットの出会いは既婚者の3分の1を占めるんですね。
こちらをご覧下さい。 赤がネットの出会い、紫がバーやレストランの出会い、青が友人を介した出会い、緑が同僚、青の点交じりの直線が近所、黒が家族を通じた出会い、水色が教会での出会いを示します。
(出所:MIT Technology Review)
左が異性愛者、右が同性愛者の出会いを表すところ異性愛者では“ネット”が“バーやレストラン”に肉薄して20%超えの3位、同性愛者では7割近くとブッチギリですね。
注目はこれだけではありません。ネットで出会ったカップルは、離婚しづらいというではありませんか!
米国科学アカデミー紀要が紹介した2013年の調査によると、ネットで出会って付き合ったパートナーのうち別れた割合は5.9%と、ネット以外での7.6%以下にとどまります。結婚したカップルでは顕著となり、ネットを通じた知り合った夫婦で「別居中あるいは離婚した」割合はたった7%に過ぎません。米国での離婚率が40~50%と考えれば、驚異的です。
恐らく、マッチングする際の条件合わせが長続きする秘訣なのでしょう。日本は古くから結婚に年収や家庭環境といった条件でマッチングさせるお見合い制度があり、結婚相談所はその代替機関と言えます。しかし、こうした制度がない米国をはじめとした各国でオンラインでの出会いは、甘い果実をもたらすようです。そういえば、日本でもお見合い結婚の方が離婚率は低いとか聞いたような。
2013年の調査対象について、1万9,131人が対象という事実くらいで詳細が不明なため実態を表しているかは分かりません。ただネット以外で相手を見つけて恋愛結婚したアメリカ人は、元来のフロンティア精神も相俟って外に出て恋人探しができる方々と解釈できます。つまり、今のパートナーより素敵な相手を見つけられる確率がネット利用者より高い可能性がある。言い換えるなら、ネットで出会った方々は漸く出会えた満足感から離婚や別居へ踏み出さずにすんでいる・・・なんてことはあり得ないでしょうか?
(カバー写真:madebyWstudio/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年10月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。