田中将大投手所属のニューヨーク・ヤンキースがワールド・シリーズ進出を逃したため、日本人の間ではメジャーリーグの頂上戦への関心が低下しているかもしれません。
しかし、マーケットウォッチによるとアメリカでは確実に熱気が高まっています。
今年のワールド・シリーズは24日にカリフォルニア州ロサンゼルスにあるドジャー・スタジアムで開幕し、ロサンゼルス・ドジャースVSヒューストン・アストロズが熱闘を繰り広げます。今年は既にドジャー・スタジアムで最初の2戦、ミニッツ・メイド・パークでの2戦の合計4試合のチケットが販売されていますが、平均転売価格は1,000ドルを突破してきました。
ドジャースが優勝すれば1988年以来、アストロズならチーム誕生以来で初の快挙を達成するだけに、チケット転売価格が上振れするのもむべなるかな。地元ファンを中心に、歴史的な試合をこの目で見ようと球場を目指す意気込みが感じられます。
しかし、ドジャースVSアストロズを上回るチケット転売価格を記録したシリーズこそ、2016年のシカゴ・カブスVSクリーブランド・インディアンス。共に1903年のメジャーリーグ創設以前から存在する歴史あるチームながら、両者の対戦は史上初というファンには堪えられないカードだったんですよね。また、カブスは“ビリー・ゴートの呪い”、インディアンスは“ロッキー・コラビトの呪い”がまことしやかに伝えられるほど長きにわたってワールド・シリーズ制覇から見放されていました。悲願のシリーズ出場の生き証人となるべくファンが転売サイトに詰め掛け、2016年のチケット転売価格平均は4,578ドルと史上最高を叩き出したのでしょう。
今年はそこまでの高騰ぶりを見せないとはいえ、2年連続での平均転売価格1,000ドル超えは別次元です。
(出所:Marketwatch)
転売価格急伸の一翼を担っているのは、米景気の堅調ぶりでしょう。懐が寒ければ、なかなか大枚をはたけませんから。そういえば、NFLの頂上戦スーパーボウルでも、チケット平均価格は2015年のニューイングランド・ペイトリオッツVSシアトル・シーホークスの6,923ドルでした。2012年以降チケット価格を振り返ると、その高騰ぶりに目を見張ります。当時の成長率は、前年比2.9%増と金融危機以降で最高でしたよね。2016年は成長率が1.5%増、非農業部門就労者数の月平均が18.7万人増と鈍化したとはいえ、堅調な米株動向に伴う資産効果拡大が奏功したのかもしれません。
足元、就労者数は鈍化しつつ成長率は4~6月期に3%超えを達成し順風満帆な米経済。問題はドジャースVSアストロズが、第7試合の延長戦までもつれ込んだ2016年シリーズのような熱狂を届けてくれるかどうかです。
(カバー写真:M&R Glasgow/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年10月25日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。