トランプ大統領はなぜ横田基地に来たのか

トランプ米大統領が来日したとき、大統領専用機「エアフォース・ワン」で米軍の横田基地に降り立ったことに違和感を覚えた人もいるだろう。これまで日本を訪問した米大統領は、すべて羽田空港に降りている。米軍基地に直接来て、しかも軍服を着て演説したのは異例だった。

もちろん一般人とは違うので、大統領が空港で入国審査を受ける必要はない。警備も米軍基地のほうがはるかに楽だ。しかしそこにはもっと重要なメッセージがあった。米軍は在日米軍基地から自由に出撃できると北朝鮮に見せることだ。「どんな独裁者も政権も国家も、米国の決意を甘く見るべきではない」と彼は横田基地で演説した。

米軍基地の撤去を阻止した基地反対派

同じように基地に降り立ったアメリカの指導者がいる。1945年8月30日に厚木飛行場に降りた、ダグラス・マッカーサー連合国軍最高司令官である。当時まだ厚木は日本海軍の飛行場だったが、そこに将軍が降りたことは、改めて日本の敗戦を印象づけた。

それ以来、横田も厚木も米軍の指揮下に置かれている。基地の中はもちろん、首都圏上空の「横田空域」は米軍の管制下にあるので、たとえば伊丹から羽田に飛ぶ飛行機は、房総半島に大きく迂回して南から着陸する。

1951年に締結された安保条約は、本来は講和条約と一体の「日米相互防衛条約」になる予定だったが、吉田茂首相が憲法を改正しなかったため、米軍が一方的に日本を守る奇妙な「安全保障」条約になった。これを「対米従属」と批判する人がいるが、憲法の制約で「戦力」をもてない日本は戦争の主力になりえないので、米軍が指揮権をもつしかない。

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