荒川区のゼロ歳児保育が酷すぎる件について

年始に見知らぬワーママから、「助けて」ってフェイスブックメッセージが来たんですよ。

何かな、と思ったら、「荒川区のゼロ歳児保育の預りが17時までなのです」と言うわけです。
17時と7時を見間違えちゃったのかと思いました。

待って待って、17時っていったら、会社16時に出ないとダメじゃん。

なに、それはフルタイムは諦めろってこと?
いや、大企業の正社員だったら、ゼロ歳の時は育休取れるか知んないよ。でも、中小零細とか、自営業の人どうすんの。フリーランスの人は?

そんで、荒川区の言い分がこれですよ。(太字等は筆者)

子育て支援部長「子どもの健やかな成長には心の安定が必要という観点から、ゼロ歳の間はできる限り家庭の中で保護者と接する時間を長くとってほしい」( 出典:荒川区議会特別予算委員会 http://bit.ly/2EcCsAp )

荒川区議会議員「生まれたら、四十八日目、子どもさんを保育園に預けて、小学校に行ったら学童に預けて、中学校に行ったら、部活や塾に行って、どこに親子のきずなとか家庭のきずなが生まれるのかなと。(中略)
私は三人兄弟で、保育園も幼稚園も行ったことはないけれども、それなりに生きてきているというふうなことを考えたときに、何で保育園に預けなきゃいけないのということを実はいつも私は非常に疑問に思っています。決して教育費が高いからとか、いろいろある。

お母さんは働きたい、いい暮らしをしたいと、否定はしないけれども、生まれたら保育園に預けるのが当たり前みたいな、そういう考えじゃなく、また、幼稚園に三歳から預けたっていいじゃないですかというのも当然あるんだけども、何かわだかまりがあるんですが」
(出典:荒川区議会 文教・子育て委員会 http://bit.ly/2Azbd0L )

お前ら、そのまま荒川に沈んじゃえよ、と。
保育園預けてたら、「心の安定」とやらが得られないのかよ。
保育園行って学童行って部活行ったら、「親子のきずな」とやらがなくなんのかよ。

なんのエビデンスもない、妄言だろ。

あらかわ遊園は安くて素敵だけど、このゼロ歳児保育問題のせいで、僕の中で子どもに優しい荒川区のイメージは地に堕ちました。

あー、腹立つ。
しかも、23区でゼロ歳児保育17時までとか言ってんのは、荒川区ただ一つじゃないか。


てことは、23区で荒川区以外に住んでて保育園通ってるゼロ歳児は、みんな健やかに育ってないわけ?

アホか、と。冗談は「町屋でまちやがれ」だけにしてくれ。

しかし、この逆境に、荒川区のワーキングマザー達はポジティブに立ち上がりました。

荒川区にゼロ歳児保育の時間延長を求めて、署名キャンペーンを立ち上げたのでした。

 0歳児の保育時間が一律17時までなのは、東京都23区で荒川区のみ!荒川区に保育時間の延長を求めます
 http://bit.ly/2CNEYjP
これは是非とも応援したい!え、私は荒川区民じゃないから、どうでも良い?
あらかわ遊園にも行かないし、都電荒川線にも乗らないから、関係ない?

いやいや、実は全くそんなことはないんです。

こういう馬鹿げた自治体が、「0歳児保育をすると健やかに育たない」とか妄言を垂れ流してると、5人に1人くらいは信じちゃうんですよ。

結構たくさんの人が自治体とか学校とか、そういう公的なところが言ってること=真実だと無条件に思っちゃいますからね、この国は。

だから、素手でトイレ掃除させると、心が綺麗になる!とかって頭のおかしい学校で実践してたら、全国に結構広がってるわけですよ。(参照:  http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20081109/p1 )

細菌による感染とか、生物の授業で習ってるわけですよ。それなのに、です。

保育園のおむつ持ち帰りとかもそうですよ。公立保育園の保育士が「便を見るのもお母さんの役割なんですよ。健康がチェックできますからね」とか言ってるけど、嘘ですからね。便から細菌やウィルスが拡散するから、見て健康チェックとかしちゃダメだし。単に、保育士の処理の手間と、処理費用節約したいだけの話で。

こういう自治体による酷い政策と、それを正当化しようとするデマを放置すると、デマが綿毛みたいに飛んでいって、どこか違う自治体にも落下して、形を変えて芽を出して繁殖していっちゃうんですよ。

だからどうしようもないデマや妄言を行政が言い出した瞬間に、ツッコミ入れて根絶やしにしないとダメなんです。

そういうわけで、みなさん。僕は署名キャンペーンに協力します。
涙を飲みながらトンデモ自治体と闘う、同胞たる働く親たちを、全国から支えませんか?


編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2018年1月6日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。