元IT副大臣53歳のセカンドスクール①

福田 峰之

「なぜプログラミングスクールなの」

平成29年9月23日あの日から、人生が大きく変わってしまった。33年間お世話になった自民党を離党して、新たな政党をつくり、政権交代可能な寛容な改革保守政党をつくる、その思いはあえなく途絶え、全てを失い正にゼロに戻ってしまったのです。もともと「地盤・看板・カバン」何も無いところから始めているので、元に戻ったというのが正しい理解なのかもしれない。

一般的に53歳というと企業では役職定年が見え始め、置かれている自分の姿が見えてくる、いや見なくてはいけない時期になってくるのです。55歳で役職定年、60歳で定年、65歳までの再雇用、人生100年と言われ、残りの人生をいかに過ごしていくのか、正直、長いと思える35年間、幸せな終わりを遂げることが出来るのか?この漠然とした不安を感じ始める年齢でもあります。医療が進化することによって命が救われる。一方で、死ぬ権利としての尊厳死は認められていない。

僕は20歳から政治の世界に入っているので、行き当たりばったりの人生を覚悟し、個人の将来設計など何もなく、行く末のどのような生活も受け入れる思いで生きてきました。その僕ですら、今回の落選は心に変化を与えました。しかし、それは落選という出来事より、「将来の不安」だったことに後から気づかされるのです。落選は3回目ですから、この期間どのように過ごしていけるのか、それなりに分かっています。だから、心が折れることはありません。その僕が・・・。それは、人生100年と政府に言われ、平均寿命で言えば85歳くらいであの世に行くつもりが15年も伸びる、どうやって生きていけば良いのかという、想定外の人生になることを求められている不安だったのです。

政府はセカンドスクール、学び直しで、次なる人生の準備をするように国民に伝え、それに伴う施策をつくろうとしています。つまり、お金、やりがい(人の役に立つ)を自分で見いだせということです。高齢者となっても社会の役にたって働ける、そんな仕事あるのだろうか?一般的には若い人がやりたがらない仕事しか残っていないのです。人手不足で、自分が生きている間は無くならないデスクワークの仕事ってあるのだろうか?あるとするならば、時間的、資金的投資を自らにかけなくてはいけない、その時期はいつなのだろうか?それは自分に出来るのだろうか?この漠然とした不安が社会に蔓延している気がします。

僕は衆議院議員の時代、自民党IT戦略特命委員会の事務局長として、IT政策の実務を担ってきました。毎年「デジタル日本」という提言書を取りまとめ、政府に提出し、国のIT政策のベースになっいました。サイバーセキュリティー基本法、官民データ活用推進基本法、IT社会の礎となる議員立法もつくってきました。IT社会は更に進むことはあるけれど、元に戻ることはありません。

今や、公共投資の多くは政府のシステム予算であり、日本経済の牽引もIT産業となっています。オフコン、パソコン、そしてスマホ&タブレット、特にスマホの出現はIT社会に舵を切る大きなきっかけとなりました。間違いなくIT社会、IOT社会、マイナンバー利活用社会、データ利活用社会になっていきます。大きな意味でIT社会となるのであれば、その下支えをしているのはコンピュータープログラムであり、それをつくるプログラマーは社会的必然として仕事が増えることになります。

便利な社会となり人に喜ばれ、当面無くならない仕事の一つは、プログラマーなのかもしれない。僕自身もIT政策をつくってきたけれどプログラムを書くことは出来ません。なら、政府の言うセカンドスクール、僕はプログラミングスクールに通ってみようと思ったのです。議員をやっている時は、まとまった時間を取れないし、自分の弱点克服のためにもチャレンジしてみようと。立教大学社会学部出身なので、プログラムは学んだことはありません。

この僕が対応できるのか?出来なければ、プログラミングのセカンドスクールは、53歳ではハードルが高いということになる。チャレンジしてその姿を特に同年代の方々に見てもらおうと決心したのです。そして、この人生の節目は、僕の同年代の人だけでなく、必ずこの年を迎える国民全てに当てはまることでもあるのです。政府が方針を示すこと、そのための施策をつくることは大切です。僕も9月まで、政府の側にいました。でも、もっと大切なのは、国民がそれを具現化出来る事なのです。時間のある僕が、53歳の元IT副大臣がチャレンジしてみます。

このブログの特集は2か月間のプログラミングスクールでの学びと心のありようをお伝えしていきます。

次回は「コザに行くか!」


編集部より:この記事は元内閣府副大臣、前衆議院議員、福田峰之氏のブログ 2018年1月18日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。