新経済連盟主催の「新経済サミット2018」で政策提言『Japan Ahead2』が発表された。残念ながらほとんどニュースにならなかったが、新経済連盟のサイトで公開されている全文は興味深い。
提言は大きくは三項目、「インテリジェント・ハブ化構想~東京をシリコンバレーに~」「最先端社会・スマートネイション~シェアリングエコノミーと電子化~」「人口減少、労働力不足問題への対応~移民政策~」である。
スマートネイションの中では「政府の政府による率先したスマート化と行政コストの削減」の一環として「データ分析による客観的根拠に基づく行政推進」を主張している。根拠に基づく政策形成(EBPM)について政府がどのように動いているか、僕は以前に記事にしたことがある。EBPMの徹底によって、しがらみの中で実施されてきた効果の薄い、あるいは効率の悪い施策は中断される可能性があり、既得権を重視する業界団体が言い出すのがむずかしい。新経済連盟がEBPM推進を打ち出したのを評価したい。
「不動産版マイナンバーを活用した不動産情報バンクの整備」も面白い提案である。不動産の所在は住所で表記されたり、地番で表記されたり、行政事務によってバラバラである。これでは不動産の特定はむずかしいし、取引の妨げになる。全国に急増している空き家や所有者不明の森林等の整理にも差し支える。これを不動産版マイナンバーで統一しようという。不動産登記に利用される公図もいい加減だが、これも地理空間情報との連携を図るという。壮大で実現には時間がかかりそうだが、ぜひ、推進してほしい施策である。
そのほか、移民政策の大胆な転換など、提言には挑戦的な項目が並んでいる。『Japan Ahead2』は一読の価値がある。
山田 肇
『ドラえもん社会ワールド 情報に強くなろう』監修