第2回目の米中通商協議で、遂に緊張緩和を迎えました。通商協議の開催が17〜18日で共同声明がリリースされず、すわ物別れかと思いきや、19日に飛び出してホッとした方も多いでしょう。
トランプ政権は3月22日、知的財産権侵害で中国からの輸入品を500億ドル相当に制裁関税を課す方針を表明していましたが、交渉の結果「保留」に。21日のダウは、トランプ大統領が知財制裁関税を提示してから下落した分を完全に打ち消したのも、むべなるかな。
共同声明では、1)米国の対中貿易赤字の大幅縮小(中国による米国のモノ・サービスの輸入拡大)、2)米国からの農産物、エネルギーの対中輸出拡大、3)知的財産権での協力——が盛り込まれました。しかし米国側が要求した貿易黒字2,000億ドル削減など、具体的に明記せず。21日から中国を訪問するロス商務長官が詳細を交渉する見通しです。ムニューシン財務長官はFOXとのインタビューで20日、米国からの対中輸出は年内35〜40%、エネルギー関連でも3〜5年に2倍になると発言していましたね。
米国側は中国の通信機器ZTEについては引き続き、経営幹部の刷新も含め厳しい対応を進める方針を表明したものの、事業再開を支援する方針も打ち出したことも事実。互いに甘い果実をもぎ取ル準備が整っていたのか、共同声明リリース前のトランプ大統領は劉副首相とのツーショットをツイッターに投稿していました。
トランプ大統領は、ご覧の笑顔。
(出所:Twitter)
さて、投資家が気になるのはどの銘柄が上昇してくるかでしょう。S&P500構成企業のうち、中国の売上のシェアが最も大きな銘柄トップ20です。
20位 アプライド・マテリアルズ 18.9%
19位 エヌビディア 19.5%
18位 アップル 19.6%
17位 エーブリー・デニソン 19.7%
16位 アジレント・テクノロジーズ 20.1%
15位 スターバックス 20.2%
14位 コーニング 22.0%
13位 ウエスタン・デジタル 22.4%
12位 インテル 23.6%
11位 キシリンクス 25.4%
10位 アンフェノール 29.5%
9位 マイクロチップ・テクノロジー 32.0%
8位 アドバンスド・マイクロ・デバイシズ 32.8%
7位 IPGフォトニクス 44.1%
6位 テキサス・インスツルメンツ 44.1%
5位 マイクロン・テクノロジーズ 51.1%
4位 ブロードコム 53.7%
3位 コルボ 62.0%
2位 クアルコム 65.4%
1位 スカイワークス・ソリューションズ 82.7%
——やはり、半導体関連が勢揃いしていますね。金額ベースであれば1位は文句なしのアップルで直近の会計年度で448億ドル。2位はインテルで148億ドル、3位はクアルコムで146億ドル、4位に漸くボーイングが登場し119億ドルでした。金額ベースでのトップ10で半導体・通信機器以外の企業は9位のP&Gで52億ドル、10位のスターバックスで45億ドルと、3社のみ。いかにハイテク関連企業の依存度が高いかが分かるというもので、米中の切っても切れない関係が浮かび上がります。
(カバー写真:Pamela Drew/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年5月22日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。