日本は認知症サポート先進国!?:認知症国会勉強会(第6回)の議論から

国会で認知症対策の議論を活性化すべく今年2月に立ち上げた『認知症国会勉強会』ですが、先日開催した第6回勉強会には、オレンジリングでおなじみ『全国キャラバン・メイト連絡協議会』事務局長の菅原弘子さんにご参加いただき、意見交換を行いました。

『認知症サポーター』とは!?

『全国キャラバン・メイト連絡協議会』が開催する認知症サポーター養成講座を受講した方はその日から『認知症サポーター』を名乗ることができます。
現在『認知症サポーター』は1036万人。
毎日100ヵ所以上で養成講座が行われており、その人数はどんどん増え続けています。

これだけ沢山いるので、皆さんの周りにも、養成講座で配布されるオレンジリングを着けている方がいるのではないでしょうか?
この『認知症サポーター』は、認知症の正しい知識を学び、認知症の人やその家族を温かく見守り、支え、支援できる人を増やしていく目的で、2005年から養成が続けられています。

『認知症サポーター』が世界のお手本てホント!?

菅原さんは、世界的にみても極めて先進的なイギリスの『認知症フレンド』プロジェクトが「日本の認知症サポーターキャラバンを手本として2012年にスタート」したことを紹介してくれました。

また一方で「世界から日本の認知症対策は進んでいると思われていますが、実態は『新オレンジプラン』に記された戦略が実際の施策レベルまで落とし込めておらず、まだまだ不十分」とも。

※イギリスの『認知症フレンド』については、第1回認知症国会勉強会に関するブログ記事でも触れています

『認知症サポーター』活動事例

世界でも評価される認知症サポーターキャラバンの取組ですが、「サポーターの方々をもっと積極的に活用すべき」といった意見もよく聞かれます。
こういった指摘についても理解を示しつつ、菅原さんは『認知症サポーター』が地域で活動している事例をいくつか紹介してくれました。

  • 多摩信用金庫では、夫婦で来店した客の妻の怯え方から『認知症サポーター』の職員が虐待に気付いた(妻は認知症を患い夫から暴力を受けていた)。その後、地域包括支援センターや民生委員、マンション管理人などと連携して支援を行っている。
  • 神戸市東灘区では警察署の全署員が『認知症サポーター』となり、住民への声かけを徹底している。
  • 八王子市の長房郵便局では、来局のたびにやせ衰えていく女性客の姿から認知症に気付き、行政等と連携して支援を行っている。

認知症ケアの専門家養成が急務!!

「軽度の認知症の方を地域で見守れるよう、『認知症サポーター』の養成に引き続き力を入れていく」

「重度の認知症になると病院の精神科病棟に閉じ込められて身体拘束に遭うケースも多いが、正しい対応を心がければそのような対処の必要性はなくなり、地域の施設で暮らすこともできる。だから認知症ケアの専門家の養成を急ぐべき」

と語ってくれた菅原さんが目指すのは、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる社会。

そのような社会を本当に実現できるよう、皆で力を合わせていきたいと思います。

(この勉強会に事務局として関わってくれている、栗田さんをはじめ日本医療政策機構のみなさんに感謝申し上げます。)


編集部より:この記事は、衆議院議員、鈴木隼人氏(自由民主党、東京10区)のブログ 2018年7月18日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は鈴木氏のblogをご覧ください。