こんにちは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
第三回定例会が閉会しました。
恒例の決算の認定やブロック塀対策に関する補正予算の審議が行われました。
本日は、個人情報・情報セキュリティに関する代表質問について、ご報告させていただきます。
特殊詐欺被害を防止するため、区内4警察署と連携して特殊詐欺根絶対策が行われています。
これにより、警察官による戸別訪問や自動通話録音機の貸出、特殊詐欺の注意喚起等の啓発活動が行われます。
約6万7000件の個人情報を警察に提供することになるため、新宿区情報公開・個人情報保護審議会でも一度差し戻しとなった案件です。
提供された個人情報を元に、周知活動のための警察によるポスティングが行われる予定でした。
ただし、新宿区が郵送や広報しんじゅくで周知を行うことに関して審議会で議論が行われ、その内容が反映されました。
同様に、当初予定されていた警察への巡回連絡カードの依頼もなくなりました。
そして、オプトアウト手続きに関して広報新宿で丁寧な説明を行うことについても、議論しました。
警察に個人情報を提出することが情報漏えいや個人情報の悪用に直接繋がるわけではありませんが、新議会での議論の結果が反映されたことは良かったと考えています。
戸別訪問の際に巡回連絡カードのお願いにまわることができれば利害関係が一致し、効率的な事業になると考られえていました。しかし、新宿区が情報を提供することで、警察は個人情報の目的外使用を禁止され、現在は巡回連絡カードも回収できません。つまり、警察に戸別訪問のコストを負担してもらうこと以外に新宿区のメリットはありません。
また、警察に対する個人情報対策が強化されたことは確かですが、感覚的に信用できないという方もいらっしゃいます。
地域の団体や新宿区、場合によっては外部委託先と事業を行うことなど、何が最も望まれているのか区民の意識を確認することも必要です。
直近ではこのような結果も出ていますが、疑問の多い事業と言わざるを得ません。
詐欺防止:名簿提供、65歳以上の46%が拒否 新宿区 – 毎日新聞
【個人情報を警察に提供する問題】名簿提供に辞退(拒否)3万人超52% : 新宿区議会議員 沢田あゆみのページです。
以下、質問と答弁です。
伊藤 6万7,000件の情報を警察に提出することに対して、地域からご意見は届いていますか。
警察に対する区民からの信用が得られていない可能性があります。どのような方法で特殊詐欺対策に取り組むべきか区民の意思を確認し、事業を見直す必要があると考えますがいかがでしょうか。
巡回連絡カードのお願い等、目的外利用が禁止されたことで警察が関与する必要性が失われたのではないでしょうか。警察との連携が事業に不可欠という状況ではないと思いますが、いかがでしょうか。吉住区長 はじめに、特殊詐欺対策事業について地域からの意見が届いているかとのことです。
特殊詐欺根絶対策事業については、新聞などで報道された際に、区民へのはがきやメール、電話などで「自分の個人情報を警察に提供して欲しくない」と言う20件ほどのご意見を頂きました。
一方で、町会連合会や民生委員協議会において、事業の趣旨や内容等について説明したところ、身近な方が被害に遭われた方などから「高齢者を特殊詐欺被害から守るためこうした事業を是非進めるべきである」との多数のご意見を頂いたところです。次に、本事業の見直しについてのお尋ねです。
本事業について、町会連合会や民生委員協議会、高齢者総合相談センター管理社会、高齢者の権利擁護ネットワーク協議会、地域ささえあい館・シニア活動館・地域交流館合同館長会などの高齢者を支える多くの方々への説明において、本事業への理解を得られております。
また、特殊詐欺が急増している現状を踏まえると、区と警察が個別に特殊詐欺対策に取り組むのではなく、区と警察がそれぞれの強みを生かして連携し、本事業を推進していくことが、高齢者の安全安心を守るために必要であると考えています。次に、警察との連携の必要性についてのお尋ねです。
本事業については、特殊詐欺被害に遭われた人の声を直接聴き、特殊詐欺の様々な手口を知っている警察官が、日頃行政と接する機会が少ない高齢者宅を個別に訪問して「自分自身も特殊詐欺の被害者になりうる」ということを分かりやすく丁寧に説明することにより、より高い効果が期待できると考えています。また、民間事業者等に委託するより警察官が直接訪問する方が、高齢者にとっては信頼や安心感があり、事業効果が期待できると思います。
さらに、オートロックマンション等でも、警察官であれば建物の中に入ることができるというメリットもあり、事業目的に合ったパートナーであると考えています。
特殊詐欺は急増しており、現在、警察においても特殊詐欺対策を重要課題と捉えています。
区と警察が一体となって特殊詐欺根絶対策を実施し、特殊詐欺被害ゼロを目指してまいります。
次は、議会でも提案を行なってすぐに動いていただいた情報セキュリティアドバイザーの件です。
情報セキュリティアドバイザー開始。1回1万円で、審議会と同じ書面の確認ではなく専門的なシステム調査を
情報セキュリティアドバイザーの方には一回あたり1万円の謝礼をお支払いしています。
しかし、今後もこの謝礼で情報セキュリティの調査を行うことは難しいと考えていますし、審議会委員と同じ資料でご判断いただくことにも少し無理があると考えています。
以下、質問と答弁です。
伊藤 情報セキュリティアドバイザーの役割や謝礼を、どのようにお考えでしょうか。
新宿区情報公開・個人情報保護審議会の委員と同じ資料のみで判断することでは、不十分な場合もあると考えています。より技術的な助言をいただけるよう改善が必要だと考えていますが、いかがでしょうか。
特にマイナンバーや東京共同電子申請・届出サービス等については、区政情報課、さらに情報システム課を交えて、情報セキュリティアドバイザーと意見交換の機会が必要と考えていますがいかがでしょうか。吉住区長 ICTの急速な進展に伴い、区の事業に導入するシステムに関しても、民間の外部サーバーと連携する必要があるものやスマートフォン用アプリ・WEBアプリを用いるものなど、より複雑化・高度化しており、新宿区情報公開・個人情報保護審議会においても、このようなシステムに係る案件の付議が増加しています。
こうした状況を踏まえ、外部の専門的な視点から情報セキュリティ上のリスクの洗出しや保護対策を点検することで、より一層、個人情報保護制度の適正な運営につなげるため、情報セキュリティアドバイザー制度を導入しました。また、アドバイザーの謝礼については、区における民間の専門技術者に対する謝礼の基準単価に基づき定めています。次に、情報セキュリティアドバイザーが、より技術的な助言ができるよう改善すべきではないかについてのお尋ねです。
情報セキュリティアドバイザーには、審議会資料に基づき、区が実施する事業に必要な情報セキュリティ対策について意見や助言をいただいています。今後は、アドバイザーからより技術的な意見や助言をいただくため、システムに係る関連資料の提供や担当課へのヒアリングなど、アドバイザーからの求めに応じて、対応してまいります。
次に、情報セキュリティアドバイザーと区との意見交換の機会についてのお尋ねです。
区では、新宿区情報セキュリティーポリシーを定め、情報システム課と担当課が常に連携し、各事業における情報セキュリティ対策の適切な運営に努めています。
また、国や都、各区とも連携し、外部との通信については、都区市町村情報セキュリティクラウドに参加するなど、より慎重な体制を実践しています。
さらに、各システムの技術的な情報セキュリティ対策については、セキュリティ製品事業者やシステム構築事業者等、外部の専門家と連携し、常に、最新の脅威に対応しているところです。
今後も引き続き、こうした情報共有・連携体制を密接にする中で、必要に応じて情報セキュリティアドバイザーと意見交換を行うなど、情報セキュリティ対策に万全を期してまいります。
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個人情報や情報セキュリティの重要性は増しています。
今回の特殊詐欺対策事業は、多くの疑問があり見直す必要があると考えています。
インターネットを使わないという選択をするのではなく、情報セキュリティを強化することで積極的に導入できる環境を整えることが大切です。
区議会議員・情報公開・個人情報保護審議会委員として、引き続き議論を行ってまいります。
それでは本日はこの辺で。
編集部より:この記事は新宿区議会議員、伊藤陽平氏(無所属)の公式ブログ2018年10月16日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は伊藤氏のブログをご覧ください。