はい、入札談合監視議連会長(構成員一人w)のお姐です。
「リニア中央新幹線の建設工事を巡る大手ゼネコン4社による入札談合事件で(中略)鈴木巧裁判長は大林組に求刑通り罰金2億円、清水建設に罰金1億8千万円(求刑罰金2億円)を言い渡した。」(10月22日 日経新聞)
「入札談合」というとこうした巨額が一挙に動く印象がありますよね。しかしコノ「入札談合」も蓋を開けて、いぶし銀議員が調べてみますと、さながら生物学者のごとく、実にいろ~んな「新種」を発見できるものです。都議会で“辞退談合”を指摘したのも、お姐が最初でした。(「“辞退”談合?!リニア事件から見た東京都の実際」ご参照)今回の新種は「少額随意契約」であります。
少額随意契約とは
そもそも、「随意契約」通称「随契」というのは、都や区といった地方自治体が公共工事を発注する際、競争入札を行わずある一者に特定して契約締結をするスタイルを指します。「少額随意契約」はについては、その予定価格の上限が工事請負契約では、250万円と決められられています。
その予定価格の算定方法は東京都契約事務規則第33条において、随意契約の予定価格の決定に当たっては、一般競争入札の方法に準じて定められています。平たく言うと、250万円以下の公共工事は競争入札しないで全て随意契約ということです。
(随意契約によることができる場合の予定価格の額)
第三十四条の二 令第百六十七条の二第一項第一号の普通地方公共団体の規則で定める予定価格の額は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 工事又は製造の請負 二百五十万円
二 財産の買入れ 百六十万円
三 物件の借入れ 八十万円
四 財産の売払い 五十万円
五 物件の貸付け 三十万円
六 前各号に掲げるもの以外のもの 百万円
この太字部分ですね。
そして工事費の予定価格の算定については、工事の起工部署が積算基準に基づき、設計図書等から工事費を積算して契約目途額を定め、契約担当部署で契約目途額を基に予定価格を決定しているととのことです。
〆て212億!?の“少額”随意契約の実態
それでは、都民注目、お姐垂涎の東京都の少額随意契約の全容をお示しさせて頂きます!
政策企画局 199件 37,718,374円
青少年・治安対策本部 225件 64,767,153円
総務局 1,538件 496,226,453円
財務局 427件 68,009,356円
主税局 1,463件 305,570,528円
生活文化局 829件 164,883,877円
オリンピック・パラリンピック準備局 138件 35,572,265円
都市整備局 975件 183,553,620円
環境局 782件 232,481,266円
福祉保健局 7,980件 2,219,741,355円
病院経営本部 10,383件 3,311,103,500円
産業労働局 4,829件 1,137,821,909円
中央卸売市場 1,455件 788,536,328円
建設局 2,257件 572,476,150円
港湾局 1,053件 293,436,967円
会計管理局 67件 11,688,554円
東京消防庁 7,111件 1,643,011,551円
交通局 2,178件 1,485,290,081円
水道局 0件 0円
下水道局 2,693件 1,897,380,279円
教育庁 16,455件 3,796,202,761円
警視庁 7,049件 2,380,831,888円
選挙管理委員会事務局 147件 33,582,316円
人事委員会事務局 120件 17,473,659円
監査事務局 47件 9,079,883円
労働委員会事務局 49件 6,348,268円
収用委員会事務局 43件 4,177,086円
議会局 166件 27,527,694円
合計 70,658件 21,224,493,121円!!※局別の平成28年度分。地方自治法施行令第167条の2第1項第1号に該当するもの。
いやはや、総額212億とは仰天しました。無論この数字だけで驚愕してオシマイではない我々…
同様工事を250万円に分割して競争入札回避?!
チームお姐入札談合監視班は、件数総額のみならずその工事金額の内訳資料を取り寄せておりました。担当課長が涙目になったとかならなかったとか…(感謝)。幾度の調整修正を経て完成したエクセルデータを、つぶさに見てまいりますと、まさに目を見張る内容でした。湧き出たものは、例えば本来競争入札になる1千万円の工事が、同一事業者に分割されて少額随契に散りばめているのではないかという疑念です。
250万円少額随契公共工事 × 4 = 一千万円の公共工事(4件とも同一事業者)
が疑われる事案が散見されました。
昨年11月28日財政委員会でお姐は、「よもや故意に分割してまいな?」と、この点を質しておきましたが予感的中!
契約調整担当部長の答弁は「“過度な分割発注”の抑止を財政局が、各局の契約所管部署に通知をした」をしておりました。財務局が「安易に分割すること」とする具体的な内容は、「例えば同一の物品を購入する場合や同種の業務委託を発注する場合に、契約締結日や履行期間が同じ又は近接する2以上の案件に分割し、意図的に競争入札の適用を回避することなど。」としていました。
ここで言う「契約締結日や履行期間が同じで同一内容」としか思えない事案も散見され、受け取った一覧とこの答弁が一致しないように思えてなりません。細かい工事の内訳の調査もしたいと思いますが、恐らくは「まったく別の工事」という回答がくることが目に見えてはいます。
が、指摘するのみで「安易な分割はしていない」という答弁を得て、うのみにして終わらず(指摘する議員もお姐だけですがw)、ここまでネチネチ調べる都議がいれば、もはや、やりたい放題もできなくなるものと思います。なぜなら、お姐が一度着手した懸念事項は、執拗に定点観測し続けることを一番知っているのは東京都職員だからであります。
お姐総括!
〆て7万件212億円の少額随意契約…全然少額じゃないっ!はまさに
ちりも積もれば山となる!
平成29年(2017年)6月9日法律第54号地方自治法等の一部を改正する法律における「内部統制」についてであります。施行が、平成32年(2020年)4月1日でありますので、あと1年半後までに、「方針」を定めることとなっており、都のこうした少額随契にわたるまでの「内部統制」をどうしていくのかについても注視してまいる所存です!
編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出)のブログ2018年11月5日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。