こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
ひと昔前の大阪城公園は、女性やファミリーが行こうと思う公園じゃなかった。さらに4000万の税金を使っていたが、今では民活で、2億円以上、市がもらっている。増税なき住民サービス拡充。賑わいも出て、女性や子供が集える公園になった。これからは夜も面白くなるよ。 https://t.co/SfXGMlcEdX
— 吉村洋文(大阪市長) (@hiroyoshimura) 2018年11月9日
先週、改革の一貫で大胆に民営化された大阪城公園が大きくニュースで取り上げられ、NewsPicksのコメント欄でもかなり盛り上がっておりました。
実はこちらの公園と、同じスキームで民営化された「天王寺公園(てんしば)」には、私も大阪市立病院を視察した日に訪れ、勉強をさせてもらっていました。
ブルーシートが立ち並び、「治安が悪い場所」の代名詞だった大阪城公園。維持管理費として年間4,000万円も支出していたその施設が、民営化によって利益を年5億円あげ、市にも逆に2億円を納めるという成功事例に早変わり。
この成功は「パークマネジメント」と呼ばれる、大阪市が全国で始めて取り入れた手法によるものです。
これまでのわが国の公立公園の管理といえば、指定管理者制度が中心で、おおむね5年程度で民間事業者に文字通り「管理」を任せるだけのものでした。
これでは行政が直営で管理するより安くは済むものの、民間事業者が創意工夫をする余地は極めて少なく、単に現状維持がされるだけという状況になりがちです。
そこで大阪市は、大胆に方針転換。期間を5年から一気に「20年」に伸ばして、公園全体のマネジメントを民間事業者に委託しました。
民間事業者の合同体はこのために目的会社「大阪城パークマネジメント株式会社」を設立し、抜本的な改革や投資に取り組みます。
5年ですと、例えば大型施設などを作っても投資が回収できないわけですが、20年であれば「新たに公園内に劇場をつくろう」「売店も増やしてみよう」とか、そういったハコモノ施設を増設することが可能なわけですね。
何も目につくものがなく、ブルーシートばかりだった大阪城公園には、いまやローソンなどのコンビニも含めた様々な民間施設が立ち並んでいます。
こちらの旧陸軍庁舎という歴史的建造物も、公園内で活用されることなく放置されていましたが…
大幅な投資をして中を全面リニューアル!「ミライザ」として様々な売店はもちろんのこと、結婚式や屋上BBQまでできる施設に生まれ変わっています。
改めて、「公園」というアクセスが良い場所に広大にひろがっている土地と、民間事業者の創意工夫が合わされば、様々な可能性があることが証明される結果となっています。
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とはいえもちろん、課題や指摘もあります。
例えば大阪城公園は「天守閣」という強力なコンテンツがあり、パークマネジメントが成功したのはこのおかげだ、何も観光資源のない公園では同じことは厳しい、という声があります。
しかしながら、同様にもう一つの成功事例である「天王寺公園(てんしば)」は、動物園に隣接しているものの、特にそのように恒常的に人が来る場所ではありませんでした。
(あまり良い写真が撮れなかった…)
そこでも「駅から徒歩1分の公園のど真ん中に巨大芝を敷き、憩いの場を創り上げる」というアイディアによって、今では平日日中でも来場者があふれる公園として成功しています。
立地や潜在コンテンツを活かせば、「○○がない」「うちにはできない」は単なる言い訳というべきでしょう。
一方でまた、「まだ成功事例と断言できない」という慎重な意見があります。
現在はどちらの公園も黒字化しているとはいえ、初期に行った巨額の投資を回収するには、このペースで10年~12年程度の月日がかかる見込みとなっています。
長期計画で運営できる事業体を見つけられるかどうか、そしてその事業体がしっかりと結果を出せるかどうか。この点については、確かにハードルがあると思います。
行政職員だけでは、こうした長期計画に対して責任をもってコミットメントすることはできませんから、まさにこのリスクに挑戦するのは政治家・首長の役割と言えるでしょう。
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東京都立の代々木公園なども、単なる指定管理ではなく「パークマネジメント」を活用できる余地は十分にあると思います。
区立にまで目を向けても、私の地元北区の飛鳥山公園などは、まさにこのような大胆な発想で運用し、インバウンドの起爆剤とするべきものではないでしょうか。
大阪で学んできた知見は、ここにはまだまだ書ききれない部分もありますが、東京こそこうしたチャレンジを行うべき場所。
議会の内外から、政策提言へと結びつけていきたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2018年11月19日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。