こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
毎年この季節は「人事委員会勧告」が発表され、各自治体で公務員給与の改定が行われる季節です。
公務員の給与の妥当性は、「人事委員会」という第三者機関が、一定水準以上の民間企業との比較などを元に算出します。
そして各自治体の首長は人事委員会からの「勧告」を「尊重」して給与の増減を決めるわけですね。
「尊重」といっても、実態としてはほぼすべてのケースで勧告通りの改定が行われており、東京都23区で勧告が尊重されなかったのは、1982年に財政難を理由に引き上げを行わなかった1回のみです。
ところが!
すでにやながせ都議らがブログに書かれているように、今年は極めて異例な対応が起きています。まず東京都23区の人事委員会が、約1万円もの給与「引き下げ」を勧告。
大きなインパクトのある数字ではありますが、例年通り「尊重」して実施されるかと思いきや…
23区長会は、この勧告を「無視」して給与を引き下げないことを決定。
●23区職員の給与下げず、勧告非実施 区長会と労組妥結(日経新聞)
これで労働組合が勝利の凱歌をあげているわけですが、引き上げをするときは人事委員会勧告に盲目的に従い、引き下げについては無視するという二重基準に誰が納得できるでしょうか。
結局のところ、これまで人事委員会勧告に従って定められてきた公務員給与の基準は、極めて恣意的なものに過ぎなかったと自ら白状するようなものではないでしょうか。
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なお、23区長会の方針に従わす、各区は独自の決定をすることもできます。
私の地元北区では昨日、またも生活保護費に関する職員不祥事が発覚し、逮捕者が出る事態となりました。
東京 北区の生活保護担当の元職員 生活保護費詐取の疑いで逮捕
(北区HPより)
北区では同様の内容で7月にも別の職員が逮捕されています。その際に私は
「4期16年続いた現区長による長期政権の元で規律が緩み、組織的に行われていた可能性がある」
と指摘しましたが、その懸念は残念ながら的中しつつあるようです。
7月の事件の際には、区長・副区長らが自らに減給処分を課しており、そこに追い打ちでさらなる不祥事が発覚。
こうした区政の混乱の元で、人事委員会勧告を無視して公務員給与を上げることに、一般区民の理解を得ることは難しいのではないでしょうか。
北区長らは自らの給与を罰則的に下げるだけではなく、今回の23区長会の「据え置き」方針を抜本的に見直すべきであり、北区議会も毅然とした対応を取るべきです。
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東京都でも来月の定例会にて、人事委員会勧告に基づく公務員給与改定が行われます。
都職員は手当などが0.1ヶ月アップされる方針で、「薄く広く」でその財政インパクトは約75億円にものぼります。
しかしながら、その根拠となっている人事委員会勧告が、もはや形骸化されて恣意的に利用されていることは、今回の23区のケースからも明らかです。
例年通り、公務員給与の増額には断固として反対するとともに、この矛盾の周知徹底に努めていきます。
区民・都民の皆さまもぜひこれを気に公務員給与の妥当性について考えを巡らせていただければ幸いです。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2018年11月28日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。