都議会自民党の消極姿勢で、ネット中継導入が停滞中

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

昨日は「情報公開推進委員会」が開催されました。私は紆余曲折あって2年連続で委員になることに。

今回のテーマは「都議会常任委員会のネット中継」。今年6月から総務委員会で試行がスタートしており、「人権条例」の質疑が行われた際には1500近いアクセスが集まり、都民の方からは私の元へも

「ネット中継があってよかった」
「見逃してもすぐ録画が見られて便利」
「ヤジのひどさなども含めて、臨場感が伝わった」

などの声が寄せられています。

もちろん、「長時間休憩に入っている時、その理由や状況がまったく説明されず困る」など不備を指摘する意見もあり、改善すべき点は多々ありますが、政治の動画・中継で最大1500アクセスという数字もそれなりのものであり、試行導入は概ね成功と言って良いと思います。

私自身も、都議会全体にWi-Fiを飛ばすなどの代案を提示してきたところですが、それはそれとして中長期的に検討し、まずはスピード感をもってネット中継を全面実施することが重要であると感じています。

そしてこの総務委員会でのみ試行されていたネット中継を、すべての常任委員会に来年秋(第三定例会)から導入すべく事務局提案が行われ、全会派一致でスムーズに決定すると誰もが予想していたのですが…。

まさかの都議会自民党のみが反対(第三回定例会での全面導入に反対、段階導入を主張)。

こうした「議会改革」に関わることは「全会一致で決める」という都議会慣習があるため、先週そして昨日の委員会で物事が進まず、スタック(停滞)している状態です。

12月上旬までに意思決定しなければ、来年度の予算措置が間に合わないため、ネット中継導入がさらに遅れる可能性があります。

都議会自民党の委員に対しては、委員長から「一斉導入に向けての課題点・検討すべき事項があるのであれば、次回までにまとめておいて欲しい」という要請があったにもかかわらず、五月雨式に口頭で話されたので要点が非常に掴みづらかったのですが、彼らの主張を私なりに要約すると以下の通り。

①都民の声をもっと聞いて検証するべき、議論が足りない
②パネルや図を使った際にズームするなどの改善点も検討できる
③委員会が長時間化した際はどうするのか、などが決まっていない
④中継されるのにふさわしくない場面が出てきたときにどうするのかも決まってない
⑤一斉にすべての委員会室にネット中継を導入すると、東京富裕論を引き起こしかねない
⑥よって段階的に導入、まずは大きな委員会室のみネット中継を導入すべき

…いちいちすべてに反論するのもどうかとは思うのですが。。

まず①の「議論が足りない」論は結論を先延ばしにするときに使う常套句ですが、検討・議論をするために今年6月から総務委員会で試行を行ったわけであって、何も乱暴にいきなり全委員会にネット中継を導入するわけではありません。

すでに多くの都民の声が各都議・議会局にも届いており、ネット中継の是非一つに半年以上の時間をかけるとすれば、一体都議会は何をやっているんだという批判をむしろ招きかねないでしょう。

②のズームアップや画面切り替えについては、試行の際にもすでに議論されてスタートしたことです。コストの見合いを見ながら改善していくのであれば、全面実施後にやりながら検討することも十分可能な論点であり、先送りする理由にはなりません。

③については、口頭で申し上げていることの意味が(私も含めておそらく複数の委員が)よくわかりませんでしたが、動画はどれだけ長時間化しても技術的にまったく問題ありませんし、そのままアーカイブすることができます。

「要約版を作るかどうかという議論もある」という文脈も自民党委員の口から出たやに思いますが、むしろ生の状況をそのまま中継する・アーカイブとして載せることに意味があるのであって、別途つくるかどうかはまたやりながら検討すれば良い話です。

加えてもし仮にこの「長時間化する」というのが、

「ネット中継によって委員たちが(目立とうとして)質問時間を長くすることで、委員会が長時間化してしまうのではないか」

という点に対する懸念だとすれば、これは本末転倒であるとしか言いようがありません

議論が活性化するのはむしろ非常に良いことであって、質問日数を増やすなど前向きな対応をすれば良いだけの話です。これも全面実施と並行して検討すれば良い課題でしょう。

そして私がもっとも看過できないのは④です。「中継されるのにふさわしくない場面」とは、一体どういう場面でしょうか?

昨日は自由討議ではなかったので、発言者にその意図を確認することはできませんでしたが、そもそも委員会はネット中継がなくても傍聴人・メディアに開かれたものです。ときに議事録訂正などもありますが、原則として議員が意図的に内容を捻じ曲げることは許されないことです。

「見られたら不都合なことがある」かのような発言は到底看過できませんし、そういった意識をもってこれまで都議会運営が行われていたことが、透明化が妨げられてきたすべての原因のように思えてなりません。

最後に⑤⑥についてもまったく首肯できません。「一斉導入すれば、東京富裕論を招くから段階導入しよう」と公開の場で議論している時点で、すでに他の地域を非常に馬鹿にした話です。そんな本質的でないごまかしが通用するわけないでしょう。

むしろ段階導入をして工事を数回に分ける方がコストが高くなる可能性もあり、これほど効果が不透明なポーズのために都民益を毀損することは重大な背信行為だと思います。

以上のように、都議会自民党は「反対しているわけではない」「先送りしたいわけではない」と言いながらも、その実態はまごうことなき「反対(消極的)」「先送り」にしか(少なくとも私には)思えない主張内容でした。

なぜ彼らがこれほどまでに、いずれは確実に全面実施されるネット中継の流れに抗いたいのかは正直わかりませんが、これまで都議会を主導してきたプライドや、自分たちのプレゼンス(存在感)を示す意味もあるのだと思います。

しかしながら、これほどまでに効果や見通しが明らかなもの対して支離滅裂な先送り論を主張するとすれば、それは彼らにとっても大きなマイナスではないでしょうか

昨日の委員会でも申し上げましたが、議会に関することは原則「全会一致」であったとしても、例外はこれまでにもあります。最後まで「先送り」を一会派が主張したとすれば、これは採決を用いてでも都民益のために早期実現すべき案件です。

来週には再び情報公開委員会が開催されます。ぜひ都民の皆さまには、このような議論が公開の場で行われている実態を知っていただき、また私も引き続き詳細を報告すると共に、早期のネット中継実現を主張していきます。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2018年11月30日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。