26日のニューヨーク株式市場でダウ平均は1086ドル高と過去最大の上げ幅となった。しかし、特にサプライズ的な買い材料が出ていたわけではない。
米マスターカードが26日まとめた決済状況調査によると2018年の米年末商戦の売上高成長率が6年ぶりの伸び率になった。これを受けて国内消費の強さが再確認されたとの見方もあったが、たしかにきっかけにはなってもダウ平均を1000ドルも押し上げる材料とはいえない。
原油先物が急反発したことで石油関連株が買われた面もあったが、その原油先物が買われた要因に米国株式市場の急上昇が指摘されていた。米債は売られていたことからも、リスク回避の巻き戻し的な動きが出ていたともいえる。
何故、これほどまでの反発をみせたのか。今回の米国株式市場を主体とする株価の調整の大きな要因にトランプ大統領の言動を受けての不安心理があった。トランプ大統領はここにきての株価下落の犯人はFRBのパウエル議長だと決めつけて非難しており、パウエル議長の解任観測も不安を煽った。
これについては26日に米経済諮問委員会(CEA)のケビン・ハセット委員長はFRBのパウエル議長が解任されることはないと述べていたことで、これも不安心理をやや改善させた可能性がある。
波乱要因のトランプ大統領本人がイラクを電撃訪問していたことで、鬼の居ぬ間の買い戻し的な動きであった可能性すらある。
注意すべきはこの値動きの大きさは、いわゆるアルゴリズム取引とも呼ばれているコンピューターシステムを使ったプログラム売買による影響も大きい。HFTと呼ばれる高頻度取引も値動きを大きくさせている要因といえる。今回もこのような取引が買い戻しの動きを加速させた可能性がある。
これによって米国株式市場を中心とした調整局面が終了するのかどうかはわからない。今回の調整の要因ともなったトランプ大統領の姿勢が大きく変わることは考えづらい上に、今後の景気還俗への懸念も解消されることも考えづらい。
今回のニューヨーク株式市場の乱高下は、当面価格変動リスクそのものが大きくなることを示すものではなかろうか。年末年始の金融市場が大荒れとなる可能性も出てきた。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年12月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。