高齢化社会で本当に必要なサービスとは?デジタル化の覚悟を

高齢化社会となり、介護・医療と社会保障の予算は増すばかり。しかし、医療・介護施設の運営者あるいは働いている人、そしてサービスを受ける人、誰もが持続可能と思っていないし、幸せとも感じていない、何故なのだろうか?

お金をかけるべき所とかけなくて良い所、アナログで対応すべき所と対応しなくても良い所、手間暇かけるべき所とかけなくても良い所、ルールを変えるべき所と変えなくても良い所、これらのバランスが崩れているから、誰も幸せと感じていないのだと思うのです。。

介護を例に取り上げてみます。介護サービスを受けるには、どれくらいの介護を必要とするか認定を受けなくてはいけません。認定業務は、地方自治体が任命した委員(医師、薬剤師、看護師等)による介護認定審査会によって行われます。再認定業務を含めて、費用をかけて人間が集まって会議をして認定する必要がどれ程あるのだろうか。AIでの判断にこまったものだけをネット会議で対応すればよいと思う。認定審査が終わるとケアプランをケアマネージャーに作ってもらい、実際の介護サービスの提供を受ける事になります。

ケアプランをつくるのも人が介在してつくる必要があるのだろうか。長年にわたる事例がある以上、AIでの判断に委ねてよいと思う。介護保険証はマイナンバーカードに統一し、サービスに関する自己負担費用は、マイナポータルに設定されている銀行口座から引き落とされ、保険分費用もマイナンバー制度によるバックアップ連携で、スムースに認定事業者に支払われることが出来るはず。在宅も関わるケアマネージャー、ヘルパー、薬剤師等、サービスを受ける個人のデータを共有化して、質の高い適切なサービスを提供できる体制を整えることが出来るはず。

介護を必要とする人に直接かかわらない業務は、ITを使いデジタルで対応し、直接かかわる部分を更なるアナログ化する事が大切なのです。アナログ化の意味は、心のコミュニケーション部分です。お風呂に連れて行く等の肉体的サポートはロボット等で対応しても、話を聞く、話しかける、相談にのる等の精神的コミュニケーションに時間をかけられるようにすべきなのです。

デジタル化することによって、間接経費を限りなく引き下げ、効率性・生産性を向上させる。そこで生み出された、時間、コストを制度の持続的発展に使う、介護サービスを提供する人と受ける人のコミュニケーションの時間に使うのです。そして、ヘルパー等、サービスを直接提供している人への賃金向上にも使うのです。

介護施設の運営者は、持続的な制度を望み、働いている人は賃金の向上を望み、高齢者はコミュニケーションの時間を望む。それを実現するのが政治・行政の役割で、実現するにはマイナンバー制度をプラットフォームとしたデジタル化・IT化に振り切る覚悟と実行が求められているのです。局部的対応をしても、全体最適がなされていない、あるべき姿へのストーリーが無い、これでは誰も幸せになりません。先ず、やってみて、それでも財源が足りないと言うなら、別の道を探せばよいと思う。


編集部より:この記事は元内閣府副大臣、前衆議院議員、福田峰之氏のブログ 2018年12月31日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。