“キャプテン”の怒りのボルテージがさらに上がった。高知商業高の野球部員が有料のダンスイベントに出演したことを巡り、日本高野連が野球部長を謹慎処分するよう、学生野球協会に上申した問題で、当初から高野連を猛批判してきた川淵三郎さん(日本トップリーグ連携機構 代表理事会長)が26日、再び報道陣の前で「怒り心頭」とぶちまけた。
川淵三郎氏が高野連に激怒「頭の中身は明治時代」
#高校野球 #kokoyakyu #川淵三郎 #日本高野連https://t.co/sqShnDH3Vg— 日刊スポーツ (@nikkansports) 2019年1月26日
82歳の怒り頂点に。“昭和脳”どころか“明治脳”と糾弾
川淵さんと報道陣の主なやりとりは、サンケイスポーツに出ているので、読んでいただきたい。最初にこの問題を取り上げた1月15日のツイートは、6,000以上のRT、10,000以上もファボられる大反響となった。
高知県で全く馬鹿げた話を聞いて驚いた。甲子園に出場した野球部員が、同じ指導者の下でその高校のダンス部の活動に参加したことを高野連が咎めていると。入場料をとる発表会に出場した事が問題だという事で。高校ダンス部として普通のことでは?野球部員が他の部活動をしてはいけないということなの?
— 川淵三郎(日本トップリーグ連携機構会長) (@jtl_President) 2019年1月15日
そして、昨日の会見では、頭の固い高野連をこう皮肉って、それがまたネットで反響を呼んだ。
アメリカのリトル・リーグの子供たちは、胸にね、近くのパン屋さんとか料理屋のマークとかを付けて、そういうものから提供を受けているわけだよ。小さいときから地元の人の協力で道具もちゃんと準備できてやっている。そんなのは今の高野連からみたらとんでもない話だろうね。そういうことに対して、頭が明治(時代)以来変わってないんじゃないかっていう。そういうことに対して、500円がどう悪いのか説明してくれよ。
(上記サンスポ記事より、太字は筆者)
日刊スポーツの見出しにもなったように、高野連のジイさんたちのオツムの中身が「明治時代」だと言い切ったのは実に痛快だ。読売記者時代、高野連の批判記事を書き、訂正と抗議を申し入れられて、朝日や毎日の社会面沙汰になった筆者ですら、「高野連は昭和の感覚のままだ」というくらいの批判にとどめていた。参った。脱帽だ。
我が国にプロサッカーリーグを根付かせ、近年も内紛塗れのバスケットボール界を大改革した川淵さん。舌鋒の鋭さは相変わらずだった。なによりも、82歳の今もなお、スポーツを通じて日本社会を変えようとする信念の変わらぬ強さに、心から敬意を評したい。
朝日、毎日、NHK以外のマスコミの本音は川淵さん全面支持?
興味深いのは、川淵さんのコメントの中に、高校野球の構造改革がなかなか進まない理由がさりげなく指摘されている点だ。先ほどの引用した箇所の続きにこうある。
自分らは高校野球の試合をしているときに、入場料を取ってやっているのは、『全部新聞社がやっているからわれわれは知りません』と、そういうことでいいの?マスコミももうちょっと声高に叫ばないと。日本は『こんなもんだ』と思い込みすぎている。高野連は絶対不可侵の神聖な場所であるかのように思っていること自体、僕に言わせたらおかしいんじゃないの、と
(上記サンスポ記事より、太字は筆者)
筆者もさんざん書いてきたように、甲子園大会を主催する朝日新聞や毎日新聞、中継するNHKなど日本のマスコミ自体もステークホルダーとなっており、現場レベルでは高野連の強権的かつ狂信的なアマチュア原理主義に矛盾や批判的な意見を覚えたとしても、とても言い出せる状況ではない。
かろうじて朝日、高野連の宿敵である読売新聞や産経新聞が批判的なトーンではいるものの、甲子園取材を寡占的に許された記者クラブから追放されるほどの追及をする勇気はない。
高野連から非難された私の記事について、当時所属した東京本社の運動部は戦闘意欲満々だったが、出場チームに地方大会から帯同してきた地方支局の取材班は現場で動きづらくなり、取材班にいた旧知の記者から文句を言われたこともあった。仲間を巻き込んでしまったことで、“甲子園メディア・サークル”にひびを入れるほどの批判記事を書く難しさも痛感した。
しかし、今回の報道を見ていると、マスコミサイドも本音のところでは高知商への同情と高野連に呆れた思いを抱いているように思う。真正面から批判こそしていないが、川淵さんのコメントを積極的に報じ、騒ぎを大きくすることで間接的に世論に働きかけているのではないか。
大御所に続け!隊列をうち固めよ!
82歳の大御所が立ち上がったのだ。現役世代が負けていられない。いまだからこそ、強烈に外圧をかけていくことだ。「昭和脳」どころか「明治脳」とまで言われたゾンビ的体質を、平成のうちに叩き潰さなければならない。常見さん流の“左翼話法”でいうなら、「燎原の火のごとく燃え広がりつつあり」、「強固な意志と固い団結をもって粉砕」し、「たたかう隊列をうち固めよ!」と叫びたいところだ。
その点、私は再三書いているが、役所もマスコミも主導的に動かない今、高野連に批判的な立場の議員を多く擁する政権与党からも文科省(スポーツ庁)に働きかけてもらいたい。
実は、前回の拙稿が掲載された直後、自民党の4役に近い党幹部から筆者の携帯に記事の感想を寄せられた。この幹部も今回の事態に相当怒っていた。具体的な動きに繋がるかは、まだわからないが、過去に政務調査会で高野連の特待生問題の小委員会を設置したこともあるので自民党内で同志が増えることを期待したい。
本件、私も日常業務と並行して、色々調べているが、公開資料を見ているだけでも興味深いことがある。週刊誌の皆さんもガンガンやりましょう。断固たる大衆的反撃の闘いを燃えあがらせるのだ!