次世代型保育の検討を --- 青木 勲

※編集部より:自民党渋谷総支部の若手5名が自身の子育ての経験なども踏まえて、より現実的、理想的な子育て支援策について論じた投稿をいただきました。5人の方の寄稿を順次掲載します。

(過去記事一覧)
第1回「妊婦さんへの支援の拡充を — 長島 洋平

第2回「第一子を育てるママへのサポートと情報提供の重要性 — 松本 翔
第3回「渋谷から変革を!子ども目線からよい社会をめざす政策 — 中村 豪志

なお、アゴラでは現在、統一地方選立候補予定者向けのブログ講座(2月20日)の受付中ですが、編集部では、党派を問わず、統一地方選に向けて立候補予定者の皆さまのご投稿を歓迎します。

自分自身が子育てを経験して、現状の子育て環境の改善もさることながら、新しい時代にふさわしい次世代型保育園というものも今後検討していく必要性があるのではと感じています。

一つ今後の検討としてあっても良いと思うのが、「子どもと親のため」の次世代型保育園というコンセプトです。子どもが様々なことを吸収できる時期にしっかりとした教育を行い成長させる。それと同時に働く親のキャリア形成を手助けする保育園が今の時代には必要です。

幼児教育の質の向上と選択肢を増やすということは安心して子供を預けるために必要です。例えば体育、音楽、美術には専門の講師を招き、子どもの可能性を広げることができたり、園によっては、「モンテッソーリ教育」を行うなど特色を出せれば預ける親に新たな選択肢が増えます。

モンテッソーリ教育とは教具を使った「お仕事」と言われる遊びの時間と、個別活動を通して子供の自主性を尊重し、個性を伸ばす教育法です。好きなことをとことんできる環境が用意されており、大人が行う動作に似せた作業を「仕事」と見立てて幼児に繰り返し触らせます。

この教育のメリットは、集中力、忍耐力、継続力が身につくことです。将棋の藤井聡太さんは、幼少期にモンテッソーリ教育を受けたことでも注目を集めています。

(参考:産経新聞「天才・藤井四段も学んだ「モンテッソーリ教育」とは-集中力と自分らしさ、周囲に流されず「好きなことをとことん追求する子供」に」)。

渋谷区にもモンテッソーリ教育を行っている幼児教育施設がありますが、数が少なく選択肢に入れられない方々のほうが多いです。

他にも1991年、米国のニューズウィーク誌の記事「THE 10 BEST SCHOOLS IN THE WORLD」に取り上げられ注目された幼児教育として、レッジョ・エミリア教育を紹介します。この教育は子ども同士の話し合いによって決定された一つのテーマを掘り下げるというものです。子供の意思や個性を尊重し、子供が持つ潜在能力や、表現力、コミュニケーション能力、自ら考える力などを養うことを目的としています。

もちろん目の前の課題としては待機児童の解消など、全ての子供に必要な保育や育児の場を提供することが先決ではありますが、渋谷のような先進的かつ多様性を内包する街では将来的に上記のような幼児教育法を実践する保育・幼稚園という「選択肢」があっても良いと思います。

共働きという形態で、育児子育てを母親任せにするのではなく、父親も存分に育児と子育てに参加すべきという立場から考えると、父親も母親も自身のキャリアを犠牲にせずに子育てと両立したいというのが切実な希望でしょう。この観点から晩御飯を希望する場合、保育園で出すようにできないでしょうか。

仕事が忙しい親は保育園が終了するギリギリに帰ってきて、そこから晩御飯を作るから、食べる時間が遅くなり、子どもの睡眠時間が削られてしまいます。子どもには長時間の睡眠が必要なのは親もわかっていますが、できない人もいるのです。

時短勤務の選択肢もあるのですが、キャリア形成に影響を及ぼすことを考えると、企業の対応いかんになってしまい、結果的にみんながみんなできるわけではありません。

待機児童の解消に保育園の数を増やすべきですが、保育園を建設しても、保育士が足りない現状があります。そして待機児童や幼稚園入園前の子どもたちが遊ぶ場所はとても少ないです。遊び場の確保も喫緊の課題です。区としても新しい遊び場をもっと提供すべきです。

その遊び場は、子どもの教育になるアソビが提供される場で、育児している親がくつろげる場、地域と繋がる場、そんな「次世代型の遊び場」を作れるのではないでしょうか?街づくりの中にも「子育て支援」を組み込んで考えていくべきだと思います。

青木 勲(いさお) 自民党渋谷総支部 青年部副部長
1976年生まれ。北海道函館市出身。千葉大学理学部数学・情報数理学科卒業。
玩具メーカーでゲームプロデューサーとして勤務しながら育児をしているうちに、世の中の育児環境の問題を感じ、「子どもは親だけで育てるのではなく、地域で協力して育てる世の中」にしたいと考え、TOKYO自民党政経塾(11期、12期、13期)へ入塾。

※ この寄稿はあくまで執筆者の個人的見解・提言であり、自民党もしくは渋谷総支部の見解・政策ではありません。