最もゴージャスなのは、精神の中に社会性があること
美容ジャーナリストの斎藤薫さんの記事が大変興味深い。
35歳、年上、バツイチ…メーガン・マークル嬢はなぜ選ばれたか?その引力の正体
記事の中で斎藤氏は“大人の女性として最もゴージャスなのは、精神の中に社会性があること?”と問いかけ、35歳、年上、バツイチ、しかもアフリカ系アメリカ人の血をひくメーガン妃がなぜイギリス王室に受け入れられたかという分析をしている。
12歳のとき、「すべてのアメリカの女性を楽にする」という食器洗い機のCMを見て、「すべての人を楽にする」と言うべきじゃないかと、当時弁護士だったヒラリー・クリントン氏に手紙を書き、それがきっかけで広告コピーが書き換えられたという。単に人種問題だけじゃない、女性の地位向上を、幼い頃から考えるような少女だったというのだ。
こうしたグローバルな視点を持てるのはダイアナ妃と同じ。母親も、英国王室の中でもとりわけ慈善運動に積極的だった。同じ価値観をこの女性に見たのかもしれないのだ。
この“ゴージャス”という言葉、日本では”豪華””立派”と成金を評するようなちょっと皮肉なニュアンスで、必ずしも良い使われ方をしない。しかし、英語の”gorgeous”は、素直に最高のほめ言葉で、”並外れた素晴らしさに驚く”という感じで感嘆符とともに使われる。
メーガン妃はエリザベス女王にかわいがられていることでも知られるが、普通ならばバッシングの嵐に沈みそうなバックグランドであるメーガン妃が、特にエスタブリッシュメント層を中心に評価されている背景が理解できた。
そういえば、メーガン妃が演じた「SUITS/スーツ」のレイチェルもゴージャスだった
メーガン妃と言えば、アメリカの大ヒットテレビドラマシリーズ”SUITS/スーツ”の”レイチェル”だ。日本でも韓国でもリメイクされるなど、まあ面白いドラマで世界中にファンが多い。私も大好きだ。
それゆえ、どうしてもメーガン妃をレイチェルに重ねあわせてしまうのも人情なのだが、実際のメーガン妃もレイチェルのキャラクターに近いともっぱら言われている。とにかく男性の目線からは、レイチェルのセクシーさに目が奪われがちなのだが、興味深いのは彼女の役どころだ。
”SUITS/スーツ”はニューヨークのエリート法律事務所を舞台の職業ドラマで、その法律事務所はハーバード大法科大学院を卒業していることが入所の条件だ。レイチェルはそこで働くパラリーガル。パラリーガルだが、その熱心な仕事ぶりが評価されて、異例の個室を与えられてもいる。日々ハードワークをこなしながらハーバードを目指すが落ちてしまうなど、仕事に恋に常に前向きだが、挫折も葛藤も多い。ちょっとワガママだったり、強気になったり弱気になったり。
要は、働く人なら誰もが理解共感できる現代女性なのだ。このドラマを見ていると、その失敗や挫折を含めて”gorgeous”な女性として描かれている。何より周囲が暖かく応援したり支えていく雰囲気が伝わってくる。
いやパターナリズムは一切ないのだ。仕事での要求はあくまで厳しいし、お互いに甘えを許さない。しかしながら、失敗しても何らかチャレンジし続ける精神を応援する彼の地の風土は、このドラマのレイチェルの役どころを通して確かに感じられる。
小室圭さんの葛藤や挫折をひたすら許せない日本は美しくない
ひるがえって日本はどうだ。
確かにキャリア形成一つ見ても小室圭さんの現在は試練のときだ。入社した都銀を2年足らずで辞めたとか、留学してニューヨーク州弁護士資格をとろうとしているとか。
確かに現状、弁護士を目指すとして最高のキャリアパスは「優秀な成績で日本の司法試験に一発合格して、大手の渉外弁護士事務所に入り、その上で留学して海外の弁護士資格も取る」というものだろうから、その前段がなくては日本で弁護士としての活動もできず、ましてドラマ”SUITS/スーツ”にまさに描かれるようにニューヨークは弁護士資格だけあればなんとかなる世界ではまったくない。
つまり、小室さんがどう働きキャリアをどうしていくつもりなのかが見えにくいというのは、ある意味もっともな心配なのである。
しかし一方で考えると、この激動変化の時代である。キャリア形成のあり方で悩むのはむしろ今を生きる若者としてまっとうとも言えないか。
都銀という職場が大量に優秀な学生を雇った上で、し烈な減点主義での競争を強いる組織であり、50代を待たずに大多数の社員が理想とする本体での出世の夢を断たれるという事実にはようやく世間にも認識され始めた。実際、銀行を辞める人は現在多い。とすると、小室さんの早々な判断はある意味故なしと言い切れない。弁護士という職業も、AI革命で大きく変わる仕事の代表と言われている。今までの常識がそのまま通じるとは言えないだろう。
何にせよ、当たり前に未来のある若者なのである。ひたすらにこきおろすのではなく、成長を促し応援する日本であっても良いではないか。
小室さんはニューヨーク州弁護士の資格を取ったら、海外を中心に公益に資する仕事に取り組むべし
でもやはり日本人は捨てたものではかった。在英国際ジャーナリストの木村正人氏が、素晴らしく前向きな提言をしてくれているのだ。つまり、ニューヨーク州弁護士の資格をとったら資格を生かして社会貢献の取り組みに参加することを提案されているのである。けだし、素晴らしい提案と考える。
小室圭さんと眞子さまに提案したい「国際弁護士」のこんな生き方
ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)という概念がある。高貴な立場には、公共、公益に対する義務をともなうというものだ。各国の王子を、なぜあたり前に危険な軍務につけるのか。各国の皇族がなぜボランティア活動に熱心に取り組むのか。
眞子様が問われずともノブレス・オブリージュを体現している人物であることに疑いの余地はない。しかしながら、悲しいかな我々と同じ庶民の子である小室氏は過去においてはそんな立派な振る舞いはできていなかったかもしれない。いやできでなかったに違いない。本サイトでもしばしば指摘されるように、むしろ品性を問われる要因も多分にあったのだろう。
君子豹変する。変われば良いのである。お釈迦様だって、若い時分の反省から悟りに至ったのだ。眞子様という素晴らしいnoblesseに接する機会から学ばないでどうする。
小室圭さんが彼なりに一生懸命勉強し、広く世のため人のためになる活動に参加する日。特に、得意な英語力を生かして海外の貧困や紛争など全人類的な課題にまで志をもち取り組む日が来るとしたら、それは彼が本来の意味で”gorgeous”な人間になる日である。結婚の成り行きいかんにかかわらず(私は成就することを願っているが)眞子様も誇らしいだろうし、家族、日本人、何より小室圭さん自身にとって素晴らしい人生の選択となるのではないだろうか。
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秋月 涼佑(あきづき りょうすけ)
大手広告代理店で外資系クライアント等を担当。現在、独立してブランドプロデューサーとして活動中。