沖縄基地問題をめぐる県民投票 全国紙の社説を読み比べる

読み比べると見えてくる。

沖縄基地問題をめぐる県民投票をめぐって。投開票の結果が明らかとなった2月25日朝刊、全国紙の社説。

読売:なし(今日は天皇在位50年とデジタル課税)

朝日:沖縄県民投票 結果に真摯に向きあえ

毎日:【辺野古】反対が多数 もはや埋め立てはやめよ

日経:辺野古打開へ国と沖縄は対話の糸口探れ 

産経:沖縄県民投票 国は移設を粘り強く説け

読売がなぜ載せなかったのかが気になる。天皇在位30年はともかく、デジタル課税をこの日に持ってきたのはなぜか?言論の自由、さらには主張というのは、何を言うかではなく、何を言わないかによっても表現される。なぜ、社説で取り上げなかったのか。姿勢を問いたい。

朝日はタイトルどおり、この結果と向き合え(たとえ、法的拘束力がなかったとしても)という内容。それに比べて、毎日が朝日よりも過激なタイトルとなっているが、中身を読むと、普天間基地の都市部での飛行の危険性を認めるなどしている。

日経は同紙が政治に関する話題でよく使う王道のフレーズ、伝家の宝刀「糸口探れ」でお茶をにごしているようなまとめているような。もっとも、政府、県、双方の立場に触れてはいる。現状は止められないという立場で書いているが。なお、日経はこの記事は一面には載っていたものの、トップではなかった。面積も小さめ。

産経も同様。一面でも、このテーマのスペースが小さめだった。明らかに他紙とは違う、移設徹底推進派。「投票結果は極めて残念である。」「今回の県民投票はその内容にかかわらず、民主主義をはき違えたものであるというほかない。」など、強く今回の結果を批判している。

各紙が論拠としているデータ、ファクトは正しいのかという議論は必要だろう。ただ、読み比べることによって多様な意見、立場の違いを知ることができる。慶應義塾大学経済学部の日本史の問題でも、このテーマが出題されたという。よく与党の人間は「議論を尽くした」というが、いやいや、議論を避けてきたのがこの国ではないか。この問題については私も新聞やテレビで追ってきたレベルで、シロウトに近い。これを機会に、勉強し、議論しようではないか。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2019年2月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。