大阪府知事・大阪市長によるダブル選挙が必至の情勢と報じられています。大阪の政局が緊迫するなか、昨日(3月6日)、予算委員会で質問に立ちました。以前から申し上げています通り、前回の住民投票で否決されてから3年も経たないうちに大阪都構想を推進することは、万博に向けて一致団結していこうという中で、住民間の「分断」を招くことへの懸念がぬぐえません。
何よりも、財政的に「都構想」「万博成功」の“二兎”を追う余裕がいまの大阪にあるのか?これに「IR誘致」も加われば“三兎”を追うことになり、結果として“一兎”も得られなかったのでは、取り返しのつかない事態になってしまいます。慎重にも慎重を期さねばなりません。
ここ最近の大阪都構想の動きについて、石田総務大臣に「どのようにご覧になっているか」とお尋ねしたところ、
いわゆる大阪都構想につきましては大阪府と大阪市で協議が行われているところではございますが、万博開催やIR誘致と合わせて、都構想を推進する場合には、大阪府、大阪市の財政運営に与える影響も含めて、地元において十分に議論されるものと認識しております。
とのご答弁をいただきました。私からは「しっかりと見守っていただいて、必要な時にはご助言等いただきたい」と、“穏やか”にお願いいたしましたが、何か事あれば、ご対応いただけるものと信じております。
そして、もう一つ、大阪関連で重要なことをお尋ねしました。万博の経済効果は大阪市だけでなく、大阪府内全域、関西広域(ひいては全国)に波及させていかねばなりません。とりわけ、気がかりなのは南大阪が、和歌山県、奈良県も含めた一帯のインフラ整備が進んでいない点です。
この一帯は、世界遺産登録を目指している百舌古市古墳群などの歴史的な遺産があることから、インバウンドが絶好調の関空から観光客誘致につなげようと地元の期待も強いところです。しかし、関空から近い割に、高速道がない「真空地帯」であるため、せっかくのポテンシャルが活かせないのが大変残念なことになっております。
私や南大阪の皆さまは、大阪南部の高速道路(大南高)が地域活性化の要になると確信しておりますが、これについても石井国土交通大臣にお尋ねしました。
石井大臣は
大阪南部地域につきましては、南北に縦断する道路は国道170号のみであり、東西の幹線道路との交差部などに渋滞箇所が存在いたしまして、朝夕の通勤時間帯などに渋滞が発生しております。このような交通課題は、大阪南部地域の広域的な観光交流等の妨げの一つであると認識しております。こういった状況の中で当該地域において、大阪南部高速道路が構想されていることは承知しております。
と述べられ、現状の課題については認識いただいていることを確認いたしました。
さらに大臣からは
国土交通省といたしましても、こう言った課題の解消に向けまして、現在も調査を行なっておりますが、引き続き、必要な調査を進めて参りたいと思います。
とのお言葉もいただきました。
全体としては慎重な言い回しではありましたが、万博で盛り上がっていく機運を追い風にしながら、地元の熱意とともに、この地域のポテンシャルをしっかりと訴え続けていくことで実現につなげていくための布石は打てたのではないかと思います。
なお、このやり取りの過程で、インフラ未整備の南部地域のことを地元関係者が「大阪のチベット」と自虐的に話していることをご紹介しました。私の発言ではなく、その場で撤回もしましたが、議場でお話しするには不適切だったと反省しております。ご不快に感じられた方もおられると思います。この場を借りてお詫びいたします。
ただ、発言を正当化するつもりは全くありませんが、地元の思いがそれだけ切実であるのは事実です。引き続き、大南高をはじめとする南大阪のインフラ整備推進に全力を注ぎます。地元の皆さま、よろしくご指導のほどお願いいたします。
太田 房江(おおた ふさえ)参議院議員、元大阪府知事
1975年通産省(現・経済産業省)入省。2000年大阪府知事選で初当選し、日本初の女性知事に。2008年に知事退任後、民間企業勤務を経て、2013年参院選で初当選。厚生労働政務官などを歴任。公式サイト、ツイッター「@fusaeoota」、LINE@