漫画『桜田よしたか物語』が進研ゼミの勧誘漫画以下だった件 野党は任命責任を徹底追及せよ

常見 陽平

桜田義孝がついに五輪相を辞任した。私はこれまで、数々の彼の失言を糾弾してきたし、弾劾されてしかるべきだと主張してきた。そのたびにネトウヨに絡まれたりもしてきたが。

あの政権寄りの産経新聞ですら叩いた議員である。「全員野球内閣」と安倍晋三は言ったが、全員草野球内閣、いや全員少年野球内閣(女性は1人だけいるが)であり、多くがライトで8番レベルではなかったか。

一強政治は恐ろしい。このような人物でも五輪相になれてしまうのだから。そして、あたかも聖火リレーのように五輪相のバトンは渡されていく。

対応が遅かったともいえるし、統一地方選挙の後半戦や参議院選挙に間に合ったとも言えるのだが。桜田義孝が閣僚どころか、政治家として、いや、社会人として資質に問題があるのは明々白々である。自民党支持者ほど怒っていい案件だ。

すでに野党代表や議員が「閣僚辞職は当然だ」というツイートをしている。国会では安倍首相の任命責任を徹底的に追及するべきだ。

なお、桜田義孝は閣僚を辞任する理由の説明が不十分だ。しかも、記者からの質問に「だから~」とイラつく素振りも見せている。昨日、放送されたTBSラジオ「Session-22」でも桜田義孝と記者とのやり取りが生音源で紹介されているので、ぜひチェックして頂きたい。

先日、国土交通副大臣を辞任した塚田一郎もそうだが、いかにも支持者や関係者が集まる、一見するとクローズドな場での発言が命取りになっている。桜田に関しては、本日の朝日新聞朝刊が、その場にいた自民党関係者の間でも「まずいのではないか」という声が出たという。これぞ慢心ではないか。

ここまでは誰でも書きそうなことだが、ここで桜田義孝という人を味わうためのコンテンツを紹介したい。盟友中川淳一郎がTwitterで紹介していたが・・・。
『桜田よしたか物語』

桜田氏公式サイト掲載『桜田よしたか物語』より引用:編集部

農家に生まれ、大工をしながら大学の夜学に通い、25歳で桜田建設株式会社を設立。柏青年会議所で活動し、理事長を経て、柏市議会議員、千葉県議会議員、さらには衆議院議員になるという彼のサクセスストーリーが描かれている。自民党が野党になったあたりでストーリーは終わる。

この作品は、すごい。自伝漫画を自身のHPに載せるというセンスはすごい。私も自分が好きでしょうがなく、エントリーには自撮り写真を欠かさないが(BLOGOSのコメント欄はいつも荒れるが、ファンもいるし、私が生きている証なのでやめない ぜ っ た い に だ)、それ以上の破壊力だ。

しかも、いかにも苦労して成り上がった感動ストーリーのようで、具体的なエピソードに乏しく、政治家のHPによくある、これまでの歩みをイラストで描いたレベルであり、壊滅的に面白くないのである。高齢者の自分語りである日経の『私の履歴書』の方がまだ読みどころがあるし、玉石混交だがときに神回があり、楽しい。

進研ゼミの勧誘漫画の方がまだスポーツとの両立、成績のV字回復などのドラマがあって面白い。いや進研ゼミをバカにしてはいけない。失言を重ねても昨日まで延命していた桜田よりも、少子化に立ち向かいつつベネッセコーポレーション社員が叡智を結集しているのである。

・・・私もほぼ進研ゼミ+赤本だけで一橋大学に現役合格したんだからな。小論文は全国6位だったんだからな。

彼は今年、古希を迎える。閣僚辞任だけでなく、そろそろ政界を引退するのが正解ではないだろうか。元号や新札も、彼ならばらしてくれると期待していたのだが、その点でも有権者の期待を裏切った。この寒い漫画の続編は、期待しない。

もっとも、野党も責任追及はもちろんだが、力をあわせ、残りの統一地方選挙と、参議院選挙、さらには近い将来にやってくる衆議院選挙に向けて、隊列を打ち固め、魂を戦闘的に高揚させてもらいたい。全員少年野球内閣にはもううんざりなのだ。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2019年4月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。