夢、かなう。本日から北海道新聞の書評コーナーでコラム「鳥の目 虫の目」を担当することになった。書評×コラムという感じのコーナーだ。北海道に縁がある文化人が担当。この春から担当者拡大とのことで。お声がけ頂き。感激。
少年時代の私に、文化への扉を開いてくれたコーナーである。嬉しいな。
第1回目は、東洋経済オンラインでも大人気の菅野久美子さんによる『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)を取り上げた。孤独死は今、そこにある社会問題である。本書は、特殊清掃の現場から孤独死の問題を追う衝撃のルポルタージュだ。特殊清掃とは、遺体発見が遅れたせいで腐敗が進んでダメージを受けた部屋や、殺人事件、死亡事故、自殺などの凄惨な現場の原状回復を手がける業務全体を指す。この特殊清掃のほとんどを占めるのが、孤独死なのだ。その現場からは日本の生きづらさが見えてくる・・・。
今後も数ヶ月に1回、担当する予定。本をたくさん読まなくては。
そして。「夢は叶う」という言葉はときに暴力的だと思う。夢は叶うかどうかは分からない。いや、叶わないことの方が多い。夢は怪物くんで。ときに人を面白い方向に連れていってくれるが、人を迷わせたりもする。
私自身、幼い頃から著者になりたいと思っていたが、33歳までなれなかった。意識高い系社会人の頃は、編集者に連絡をとってプレゼンしたら、一笑に付されたこともあった。一応、著者にはなれたが、ずっと理想の著者像にたどり着けないなと悩んでいた。いまも、理想の像には届いていない。もっと売れている同世代に嫉妬したりしたこともあった。新聞の書評欄を担当している人たちを羨望の眼差しでみていた。30代はそんな感じで、いつもビッグになりたいとか、サクセス、サクセスとがっついて、ときにギスギスしたこともあった。
ここ数年、生きるのに精一杯で。何をしている人ですかと聞かれると「主夫」と答えたいくらい、家事・育児が中心になっており。仕事もゆるくなっており。あまりがっつかなくなっており。いかんなあと思いつつ、ますます自然体で仕事をしていたらここ数年、やりたかった仕事に関してお声がけを頂くことが増え。
人生の時系列に関する考え方が変化している時代であり、20代で大ブレークという人もいるにはいるし。ただ、年齢相応というよりは、その時の自分にとってふさわしい仕事は自然にやってくると信じることにしたよ。
というわけで、すり減らない生き方、疲れない生き方、人間活動最優先の生き方でこれからもいこうと思うし、常に自然体でいくことにしたよ。書評コーナーを担当するという夢は叶えることができた。ただ、まだ理想の書評は書けていない。さ、次回の準備を始めますかね!
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2019年4月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。