「ゲーム依存は疾病」となったのを機に喫煙について調べた

世界保健機構(WHO)は5月の総会で国際疾病分類(ICD)11版を承認した。メディアはゲーム依存が疾病と認められたことで治療研究が進展し、患者数の把握も容易になると報じている。

現行のICD10版では「精神及び行動の障害」分類の中に「アルコール使用<飲酒>による精神及び行動の障害」を始め、アヘン類、大麻類、鎮静薬又は催眠薬、コカイン、カフェインを含むその他の精神刺激薬、アンフェタミンなどを列挙し、これに加えて「タバコ使用<喫煙>による精神及び行動の障害」も疾病に分類されている。

最近、大麻やコカインを使用した芸能人が逮捕される事件が続いた。法律違反行為として逮捕されて当然だが、服役中・出所後、あるいは執行猶予期間中に疾病を治療するのも重要である。他の記事に書いたように、この治療という側面を重視して各国では治療的司法が実践されている。ゲーム依存は非合法ではないが、治療を強化するのは同じ流れである。

それではタバコはどうか。WHOは2003年に「タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約」を採択し、わが国も2005年に批准している。

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条約に基づいて実施すべき主要政策がMPOWERとして整理されている。2016年時点でWHOはわが国の政策を、M(タバコ使用と政策のモニタリング)は優、P(受動喫煙禁止のための法規制)は不可、O(禁煙支援・治療)は良、W(タバコの危険性の警告表示)は可、マスメディア・キャンペーンは不可、E(タバコの広告・販促・後援の禁止)は不可、R(タバコ税の引き上げ)は良と評価した。

低評価を受けて健康増進法が一部改正され、2020年に施行されることになった。これから受動喫煙防止は、エチケットではなく、ルールとして位置付けられるようになる。

厚生労働省は「健康的な生活習慣づくり重点化事業」の中で、タバコについて「たばこ対策促進事業:未成年者と若年女性の喫煙防止対策、禁煙支援に携わる者の養成・活動支援等」と「受動喫煙対策促進事業:受動喫煙に関する知識の普及、受動喫煙の防止に関する意識の啓発等を通じ、望まない受動喫煙が生じない社会環境の整備」を実施している。しかし、同じく不可と判定された「マスメディア・キャンペーン」や「タバコの広告・販促・後援の禁止」には動いていない。

タバコは大麻などに比べて社会に広く浸透しているから、依存に陥らないためには予防活動を強化する必要がある。未成年者と若年女性の喫煙防止対策として学校等での啓発活動などを進めているが、それに加えて、マスメディア・キャンペーンやタバコの広告・販促・後援の禁止を強化しないと国際的に取り残される。