デジタル手続き法案は参議院でも5月24日に可決された。衆議院サイトでは内閣委員会での審議状況は閲覧できるが、本会議での採決結果はまだ公開されていない。一方、参議院内閣委員会での審議は未公開だが、本会議での採決結果は公開されている。それを見て、参議院で日本共産党(14名)と沖縄の風(2名)が反対投票したとわかった。
どうして反対したのだろう。前の記事に書いたが衆議院での反対理由は「窓口での対面による事務手続きがなくなることで利便性の後退が懸念される」であった。参議院では日本共産党・田村智子議員が内閣委員会で質問したと「しんぶん赤旗電子版」に書いてあるのを見つけた。
戸籍情報や保険情報をマイナンバーと結びつけ、一層のマイナンバーカードの普及の促進を狙うものだと指摘。出自や家族関係などの機微な個人情報を行政が一体で管理するため、個人情報が漏えいした場合のリスクが高まると批判しました。
内閣府サイトで説明されているように、マイナンバー制度では個人情報がひとつの共通データベースで管理されることはない。国税に関する情報は税務署、児童手当や生活保護に関する情報は各市区町村、年金に関する情報は年金事務所など、情報は分散して保管・管理される。したがって、行政が集めた個人情報が一気に流出する恐れはない。
そもそもマイナンバーのみでは行政手続ができないし、行政職員によるシステムへのアクセス制御なども施されている。さらに、個人情報保護委員会が監視・監督を行い、故意に個人情報を提供すれば厳しい罰則が適用される。
分散型管理などの技術的な対応と個人情報保護委員会による監督という制度的な対応を重ねることで安全を高めている。このような重畳的な安全管理は2016年時点ですでに実施済みである。
デジタル手続き法の審議で田村議員は4年も5年も前の議論を持ち出した。田村議員は勉強していないのではなく、「旧態依然」を変えたくないのだろう。さすがに最大の保守政党、日本共産党の議員である。