韓国の女性IT起業家支援の現場

韓国京畿道ソンナムにある「板橋Startup Campus」を訪問しました。ここには政府系組織、スタートアップ支援組織、イスラエル投資機関、ベンチャー企業(200社)が入居していて、コミュニティースペースとしてのカフェ等も併設されています。日本で講演したことから、交流が始まった韓国女性IT起業家会のオフィスもこの中にあります。

Campusを運営しているSUNGKYUNKWAN UNIVERSITYのSI WON KIM教授から施設の説明を受け、施設内を視察。情報通信産業振興院のクラウドセンター、K-ICTのデバイス・ラボ、スタートアップ・ハブ等があります。スタートアップ・ハブの中には、相談窓口であるメンタリングセンターも設置されています。

デバイス・ラボでは、BOOT CAMPも行われていて、年齢層が異なる人たちが授業を受けている最中でした。全てのデバイスを繋げることが出来るIOT。ネットワークとしてのITの知識、繋げるためのデバイスの知識、両者の知識がチームとして1つになり、デジタル社会は進化し、国民がより便利に生活出来るようになります。昨年は、僕も沖縄でプログラミングBOOT CAMPに参加していたことが思い出しました。

スタートアップ・ハブにあるメンタリングセンターは、「K-ICT Startup Mentoring Centre」と言われています。ベンチャー企業の育成拠点は、施設が充実していることだけが大切なのではなく、ソフトが大切なのです。それは相談体制やサポート体制が整い、コミュニティが存在していることです。メンタリングセンターは5か所あり、それぞれの地域で各メンターが各自担当する企業を抱え、サポートしているそうです。センター長から「各メンターは、自分のビジネスの片手間でサポートしているのではなく、経験を活かしてフルコミットしています」と説明を受けました。

もちろんCampus内には、Co-workingSpaceもあり、リラックススペースもあり、広々とした環境下にあります。Campus周辺部は韓国のIT企業がたくさんあり、施設の中と外とのコミュニケーションも活発とのこと。IT企業群と新たなビジネスを作り上げるスタートアップ企業群、その仲人をStartup Campusが行っているようなものです。

デジタル社会が日本より進んでいるとは言え、韓国でもデジタル女子は少ないそうです。IT分野でも特にアプリケーション等の細かなサービスメニューづくりは、女性の方が細やかな配慮が出来るので、向いているのではないかと思います。韓国では、女性IT企業家を政策的に増やしていく為の施策が存在しています。政府が、女性IT企業を認定し、公的セクターの随意契約の上限金額を200万円を500万円に引き上げています。

また、IT女性企業家会が、情報工学系女子のサポート事業、電子入札勉強会の開催、海外進出のサポート事業などを行っています。こうした女性IT団体は中国や米国にはあり、交流も行っているそうです。韓国女性IT企業家会のコンセプトは「First Mover IT Women」と言う。日本でもデジタル女子は少ない。ましてや経営者となると更に少ない。施策をつくってでもデジタル女子を増やすべきだと思う。政党に候補者選定で女子を増やすように法律で定めたようにデジタルの世界でも一歩踏み出すべきと思う。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2019年6月1日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。