明日は参議院選挙です。
選挙にあたっての、私なりの考えを書いておきたいと思います。
まず私の政治スタンスは中道左派ですから、たとえば夫婦別姓や、LGBTの権利は認めるべきと強く考えます。その意味では、本来の政治スタンスは国民民主党や立憲民主党が近いのだと思います。
しかし、今回の(そして今後も)選挙の最大の争点は、社会保障、経済、そして財政政策だと考えています。
なぜなら、これから2040年代に向けて、日本社会は社会保障の変革を待ったなしで進める必要があるからです。団塊世代がまず後期高齢者入りし、また団塊ジュニア世代も高齢者になることで、支えていく現役世代の負担はますます高まります。この状況を乗り越えるためには、政府だけでなく、個人も企業も一丸となる必要があります。
その意味では、下記のような主張をする政党や個人に投票することは、私はできません。
1.「消費税をゼロにする」
デフレ局面で消費税を上げるべきでない、との論調はわかります。しかし、「消費税は社会保障を支えていない」「消費税は弱者切り捨てだ」との論調はどうしても賛成できません。
日本の社会保障は、国債で借金をすることで、財源確保の前に給付を先行させています。ですから、消費税で財源を得てもさらに社会保障を拡充することは難しく、どうしても国の借金の返済に充てざるを得ないのです。この状況を理解していながら、「消費税をあげても社会保障の充実にあてていない」と発言する政治家を支持することができません。
2.「所得税をあげる」
日本の最高税率は55%(住民税含む)であり国際的にもすでに高水準です。ここを大幅に引き上げたとしても、数千億程度の財源です。控除をなくして中間層の実効税率を高めることが税収には繋がりますが、現役世代の負担をさらに高める結果となり私は強く反対です。
そもそも社会保障は維持するが、消費税をあげられていない結果、社会保険料が上がり続け、現役世代の負担は高まり続けています。消費税を上げず、所得税を上げるというのは、現役世代を切り捨て高齢者向けの政治をやると宣言するのに等しいと考えます。
3.「年金積立金をすぐに活用する」
年金積立金は160兆ありますが、高齢化が進む2040年以降には大幅に減ることが予測されます。この積立金を今すぐ使い始めることは、将来世代からさらに社会保障を奪うこととなります。
国民年金が開始した1961年当時の男性平均寿命は65歳でした。しかし現在は81歳まで伸びていますし、また65歳以下の支え手の人口減少が続いています。年金に変革が必要なのは構造的な要因です。年金についてはけして政局に使うべきではありません。与野党の論争から外し、第三者機関が長期的な視点で公正な事実を基とした検討を行うべきだと、心から訴えたいと思います。
4.「福島が危険である」
社会保障とは関係ありませんが、原発事故から8年経ってもいまだに福島で住むことや、福島の農産品を危険視する候補者が、野党には含まれています。もちろん福島の状況は、政府や東電に大きな責任がありますし、事故直後から福島を離れた方々に寄り添うことは必要です。
しかし、いまだに福島を危険視する方が立候補者にいることは信じがたいです。どうか政治家には、科学的な視点を持ち合わせてほしいと思います。
野党に期待すること
今回野党から立候補する中にも、私の誠実な友人も含まれています。本来賛成したい政策もあります。しかし、社会保障を真っ当にするために、もう寄り道をする余裕は日本社会に残されていないのです。
次回以降の選挙にむけて、社会保障・財政・経済について、真っ当な政策を出して頂きたいと、心から、心から願っています。
編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2019年7月20日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。