「笑い」があれば会社人生を楽しく送ることが可能?

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会社で「話す」ことが上手い人を見かけることはあります。しかし「笑い」を武器にできる人は少ないはずです。

会社はどの部署に配属にされようが会社組織の歯車として生きていくことに変わりはありません。本書では、話すことの大切さ、笑うことの意義が説かれています。

今回は、『笑いの科学株式会社』(アートダイジェスト)を紹介します。著者は夏川立也さん。六代目・桂文枝(当時は三枝)の弟子として、人気テレビ番組「新婚さんいらっしゃい! 」の前説(※本番の前、観客を盛り上げながら、注意事項を説明すること)を10年続け、その後も講師としてのキャリアを重ねるなどのユニークな経歴をもっています。

夏川さんは話し方やスピーチを次のようにとらえています。

(夏川さん)「ふだんの会話は、家の前でキャッチボールをするようなものです。ですが、人前で話すとなったとたんに大観衆の見守るなか、勝利を求めてバッターに渾身の力でボールを投げ込むピッチャーのような状態になります。そうならないためにも、日々のブラッシュアップやトレーニングが大切になります」

「さらに『場』を味方につけなくてはいけません。場の空気は、ピッチャーがパフォーマンスをしっかり発揮するためのバックボーンになります。『場』を味方につけて話すことができるようになれば、観客を魅了してやまないエースピッチャーのように、あなたは間違いなく人前でうまく話せるようになります」

バラエティ番組で、誰かのツッコミが入った瞬間に大爆笑というのはよくある光景です。ではツッコミとは何でしょうか?夏川さんは「共感」だと解説します。

わかりやすく表現するなら「誰もが思うことを一瞬早く口にすること」。ツッコミが入った瞬間に少しスベった感があるときは、誰もが思うことを口にできていないか、誰もが思うよりも一瞬早く言えていないかのどちらかです。

「今日は暑いですね」「今日は天気がよくてワクワクします」みたいな言葉に置き換えればよりわかりやすい。これは共感を得ることで場をプラスに転じているからです。

「笑い」は細胞を活性化し免疫力を高めると言われています。本書には「笑い」の要素が詰まっていることから読むだけで免疫力をアップさせるかも知れません。笑いの科学法則集を読むだけでも有益な指針となるでしょう。ファンタスティックな小説といえます。

[本書の評価]★★★(75点)
評価のレべリング】※標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
星無し  「レベル0!読むに値しない本」50点未満
2019年に紹介した書籍一覧

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
※14冊目の著書『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)を出版しました。