内閣府「人工知能ホスピタル」プロジェクト④

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ワールドカップで、日本がアイルランドを19-12で破った。高校ではラグビーの授業が多かったので、ラグビーには親和性が高い。それゆえ、同じ高校から京都大学に進学した人たちはラグビーならぬ、アメリカンフットボールを選んだ人も少なくない。

試合の最後には、アイルランドはプレーを継続して7点を取り、同点に追いつく可能性があったが、ボールを外にけり出したことであっけなく試合が終わってしまった。腑に落ちなかったが、7点差以内で負けると勝ち点1を与えられるので、この1点を取りに行ったとの解説があり、納得した。もし、3勝1敗に3チームが並んだ場合など、この勝ち点が大きく効いてくることになるかもしれない。

でも、どんな国際試合でも、日本が順当に勝っても、番狂わせで勝っても、励まされる。このまま最後まで番狂わせを続けて欲しいものだ。

そして、人工知能ホスピタルの話に戻そう。

画像診断では、図に示すように、日本は他の諸国と比して、高度診断機器数と放射線医数のバランスが他の国からかけ離れて違っています。横軸が人口100万人当たりのCTとMRIの数で、縦軸が放射線科診療医の数です。ご覧になって明らかなように、他国のクラスターから、飛び地のように離れて、日本だけ違うところに位置しています。

他の国に比べて、人口当たりのCT、MRIの密度が5倍ぐらい高くなっています。それに対して、放射線科医の密度イギリスと最下位を争っている状況です。どうみても、1人の放射線科医が診断に使える時間の限度を超えていることを意味しているのではないでしょうか。

現在では、人工知能が画像を読影することが、かなりの精度でできるようになってきています。怪しいところにマーキングすることも可能になってたと報告されています。病理画像診断も、8月号の『Nature Medicine』という雑誌に、診断結果と膨大な数の画像を人工知能に入力した結果、今や98%の精度でがん診断できるようになっています。

この論文では、3分の2の病理画像は、病理診断医が読まなくても100%の精度で白黒がはっきりすると書かれています。離島、利便性の悪い地域、あるいは、放射線科医が少ない、病理診断医が少ない地域では、人工知能にデータを送って診断をするということがすぐに可能になると思います。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2019年9月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。