自民党参議院議員の松川るいさんがブログで以下のように述べたのは8月30日である。
私はますます疑念を強めています。
当初、韓国が日本に対してもっている目標は「日本にホワイト外しを撤回させる」という極めて限定的なものであったかもしれません。しかし、ここにきて、前回のブログに書いたように、やはり、韓国政府全体でもなくましてや一般国民はそうではないと思いますが、少なくとも文在寅大統領とその側近(ざっくり言って青瓦台)は、反日を奇貨としてピュアな意味での南北統一と、その前提条件ともなる米韓同盟からの離脱を目指しているのではないか、と。
9月はこれを裏づける記事が相次いだ。韓国は核兵器を保有した南北統一を目指しているというのだ。ここでは代表的な関連記事だけ紹介したい。
J-CASTニュース(9月10日)
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権のブレーンにあたる人物が、韓国と北朝鮮が10~15年の間に欧州連合(EU)のような経済連合を組むことが可能だとの見方を示した。…米韓同盟については、韓国が核兵器を保有すれば「必要性はなくなるだろう」と述べた。発言をしたのは文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官。
古森義久さん(JBpress、9月25日)
文在寅大統領とその側近の北朝鮮への傾斜について明らかにしたのは、北朝鮮・労働党の秘密外貨調達機関「39号室」幹部だった李正浩(リ・ジョンホ)氏である。・文氏とその側近は長年、主体思想に同調する政治活動を続けてきた。…短距離ミサイル発射など軍事的な挑発行動に激しく反発することはせず…人権弾圧にも抗議しない。
韓国大統領府が核付きの南北統一を目指しているとすれば、日本とのGSOMIAの破棄をはじめ、北朝鮮への融和的な行動は、見事なまでに一貫していることが理解できる。単なる反日ではなく、反米も含めた民族主義の発露なのであろう。
中国に対しての姿勢は気になる。長い歴史でそうだったようにこれからも依存するのか(事大主義)、南北統一に向けて北朝鮮に影響力を行使してほしいから近づこうとしているのか、それとも面従腹背で中国からも自立しようとしているのかは気になるところだ。
アゴラでは加藤成一さんが9月13日の記事で「韓国の核保有も睨み、日本は米国との「核共有」を急げ」と警鐘を鳴らした。記事によると、韓国の世論調査では60%以上が核保有に賛成しているとのことでショックを受けた。韓国は被爆国ではないから、核アレルギーは小さいのだろうか。
きわめつけは9月24日の虎ノ門ニュースである。このYouTubeでは1:07:00頃から『反日種族主義』の著者の1人である李宇衍(イ・ウヨン)さんが登場されているが、1:40:00頃から1993年の韓国の書籍「ムクゲノ花ガ咲キマシタ」が紙芝居で紹介されている。まさに南北統一国家が日本を核攻撃しようとするストーリーである。大ベストセラーになり映画化もされたという。
なるほど、韓国は核兵器を保有した南北統一を実現して、世界の大国の仲間入りをしたいという潜在的な意識があるのだと思われる。
私がソウルに住んだ1990年は北朝鮮の核開発は問題になっていなかったが、韓国人から南北分断や統一に関する議論は何度もさせられた。9月17日の記事「韓国人と仲よくなるための想定問答:日常生活編」の続きで、今回は南北分断・統一の想定問答を考えたい。
想定問答例10
韓国人の主張:日本は韓半島が分断されていてうれしいだろう? 南北が統一ないほうがいいと思っているだろう?
私の回答案:とんでもない。南北が韓国のように民主化された国家に統一されることを祈っている。そうすれば将来、日本や台湾も含め、EUのような自由経済圏ができるかもしれない。韓半島が統一されて、大きな市場ができることは魅力だ。
ここで相手から「韓国に悪いところはあるし、北韓にもいいところはある。北韓をすべて悪いかのように否定するのは間違っている」などと言われて面食らった。北朝鮮のシンパはたくさんいた。現在は全羅道出身でもそこまで言う人は少ないように思う。
私は回答案のように答えていたが、果たして日本と韓国は本当に理解しあえるようになって、EUのような共同体をつくることができるのか。これがアゴラが10月から開催する読書塾「東アジアを疑う」のテーマの1つなのだと思う。タイトルから見ると、講師の池田信夫さんは懐疑的なようだ…。
韓国人からは朝鮮戦争の恨み節も度々聞かされた。
想定問答例11
韓国人の主張:日本は韓戦争(朝鮮戦争)のおかげで経済成長できたのだろう?
私の回答案:それは事実だ。韓半島にとっては極めて不幸な戦争だったが、日本は戦後の不況から脱出できた。一方でマイナスもあった。日本は中国からの輸入を遮断され、物価は上昇した。市民の生活が楽になったわけではない。日本が経済成長できたのは、日本人の勤勉性、戦前からの高い技術力をはじめ、日本に基盤があったからであり、韓戦争はきっかけになっただけだ。
そして最後に、この難しい想定問答を取り上げる。
想定問答例12
韓国人の主張:南北分断は日本の責任だ。
八幡和郎さんはじめ、日本の責任ではないと主張する人は多い。確かに太平洋戦争直後の状況だけを見れば、日本の直接的な責任はないのは明らかだ。しかし、韓国人は以下のように主張をたたみかけてくる。これに反論できなければならない。
韓国人の主張(続き):もともと米ソが南北分割を決めたのは、日本が韓半島を侵略していたせいなのだから、日本に責任がないなどと言うのは詭弁だ。
私の回答案:南北分断は日本の責任ではない。太平洋戦争が終わって、南北に別々の国をつくろうとしていたのは韓民族だ。韓国併合の時も同じだ。官僚は腐敗し、宮廷は混乱して、改革が進まなかったからだ。自分たちにも原因があるのに何でも日本のせいにするのは悪い習慣だ。やめたほういい。
9月17日の想定問答でも書いたとおり、韓国人とは議論することで仲よくなれる。
韓国併合についても、南北分断についても、日本の責任について韓国人と議論になった時は、日本は悪くないと言うだけではなく、韓国の自己責任を問うのがいい。韓国にも責任があると考えている韓国人は少なくないと思う。
—
浦野 文孝
千葉市在住。歴史や政治に関心のある一般市民。