お勧めの映画「夕陽のあと」〜 バースデーアナウンスメント

井上 貴至

岐阜県恵那市を舞台にひたむきな消防団活動を描いた「ふるさとがえり」、絵本の里で知られる北海道剣淵町を舞台に人の優しさと親子の絆を描く「じんじん」などを見るたびに思ったことがある。

地域の美しさや豊かさを伝え、シビックプライドを高めるような映画を、いつの日かつくることができたらいいなぁと。

2015年、総務省から鹿児島県長島町に出向し、7月から副町長を拝命した。

長島町の魅力は何か、困りごとは何か。肌で感じようと、畑で、船の上で、地元の方々と交流を続けてきた。少しずつ信頼関係が育まれてきた。

ないものはつくろう、連携しよう、誘致しよう。」地域の課題を解決するため、阪急交通社、川商ハウス、鹿児島相互信用金庫などさまざまな企業と連携し、win-winの関係を築きながら、最先端のまちづくりを進めてきた。

映画をつくる環境が整ってきた。「長島町を舞台に映画をつくろう!

残念ながら僕の任期中には完成しなかったが、映画をつくるため長島町に移住したプロデューサーの小楠おぐす雄士さんを始め、たくさんの町民、企業が力を合わせ遂に完成、11月から全国で順次公開される。長島大陸映画「夕陽のあと」だ。

映画「夕陽のあと」公式サイト
※編集部より:YouTubeは公式予告動画より引用

長島町の畑や東シナ海に沈む夕陽が美しいだけではない生みの親と育ての親の葛藤、里親と特別養子縁組を真正面から描いた力作だ。

主演は、NHKの朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」「なつぞら」などが話題となった貫地谷しほりさん。貫地谷しほりさん演じる佐藤茜は、妊娠中にDVにあい、極貧のシングルマザーに。やむなくネットカフェで、自分の子供を手放すことになる。

更生施設で働きながらも、自分の子供のことが忘れられない。子どもが長島町の里親に育てられていることを知り、居ても立っても居られなくなり、長島町に移住し、子供の成長を見守る。

子役は、地元長島町のオーディションで選ばれた松原豊和君。貫地谷しほりさん演じる生みの親と山田真歩さん演じる育ての親がぶつかり合う中、豊和君のなにげない一言、素朴な演技が身に染みる

長島町のことを知る人も、知らない人もぜひ見てほしい。私も試写会で思わず涙がこぼれた。

 

11月8日(金)新宿シネマカリテを皮切りに、9日(土)神奈川県のあつぎのえいがかんkiki、鹿児島県の鹿児島ガーデンズシネマなどで全国順次公開される。

映画「夕陽のあと」公式サイト

34歳の誕生日。

今年は何を書こうかあれこれ考えたのですが、今、一番伝えたいこと、映画「夕陽のあと」について。

主演の貫地谷しほりさんが、インタビューの中で、「一度失敗を犯した人間にはもうチャンスは与えられないの?」というセリフに私はすごく共感しました、と応えているが、「夕陽のあと」は、子育て、貧困、やりなおし、田舎と都会など今の日本の問題について深く考えるきっかけになる映画。

長島町元副町長という立場でなくても本当にお勧め、みんな見てね。

<井上貴至 プロフィール>


編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2019年10月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。