5年前に自己肯定感ブームを予見した作品が存在した!

Photos by K.Bito

小さな広告デザイン会社に勤めるOLの真美子は、がんばってるのに、仕事も恋もうまくいかない日々に焦りを感じていた。

自分を愛することができず、閉塞感でいっぱいの日々を送っていたある日、高校の同級生でアロマセラピストとして活躍する友香に偶然再会する。

この再会をきっかけに、真美子の人生が幸せの方向へと大きく動き始める。友香から「ゆるふわ」で幸せになるためのレッスンを受けることになったのだ。今回は、『あなたに奇跡と幸運があふれだす「ゆるふわ」の魔法』(葵井美香子著/PHP研究所)を紹介したい。

どうも気乗りしない。かったるい。それでも断れない人がいる。「嫌われたらどうしよう」「気まずくなったら困る」。そんな不安から断り切れずに流されてしまうのである。しかし本当にそれでいいのか?心の底ではいまの自分にピリオドを打ちたいと思っているのではないか。変化したいのなら実行に移すしかない。

自己肯定感が低いために、自分よりも人のことを優先してしまう人がいる。それが断れない行動として表れてしまう。まずは自分の行動を自覚することが大切である。

生きるうえで何らかの問題が発生すると人はネガティブな意識に陥りやすい。しかし問題を必然と考えて「これは自分らしく生きるために必要だったことだ」と思うと成長がある。自分軸で生きていると、何か問題が起きたときも「成長するために必要な問題」として前向きにとらえることができる。

通常は、「問題は起こしてはいけないもの」として理解するが、強すぎると強迫観念になってしまうことがある。しかし、「自分らしく生きるメッセージだ」「この問題は必要なことだ」と考えれば肯定しやすくなる。自己肯定感が高まれば「自分はどうあるべきか?」という問いが生まれる。迷ったとき、問いは自分を前に進めるきっかけを与える。

「自己肯定感」は、「私は私、あなたはあなた」というフレーズを毎日くり返すことで効果が高くなる。決意表明をしているからである。決意表明によって自分と他人の間に境界線を引くことができる。何があっても「それでいい、それが私。それも私」と受け入れば気持ちも楽になる。自分自身を深く理解することができるからである。

本書は、5年前の2014年に上梓されている。一方、自己肯定感がブームになったのは2016~2017年頃である。まるで、自己肯定感ブームが到来することを予見していたかのような仕上がりに驚きを禁じえない。お見事である!自分をありのままに受け入れ、自己肯定感を高めるためのエピソードがふんだんに紹介されている。

[本書の評価]★★★★(80点)
評価のレべリング】※標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
星無し  「レベル0!読むに値しない本」50点未満
2019年に紹介した書籍一覧

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
※14冊目の著書『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)を出版しました。