こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
先週の本会議にて、国家公務員(特別職を含む)の給与をアップさせる法案が採決されまして、維新は関連の4法案にすべて反対しました。
この中で、「他はわかるけど、さすがに自衛官の給与引き上げに反対するのはやり過ぎじゃないの?」というご指摘や、理由についての疑問が寄せられましたので、回答したいと思います。
まず前提として、維新は「身を切る改革」を一丁目一番地に掲げる政党として、公務員給与アップには結党以来一貫して反対してきました。
これは単に「公務員憎し!!」という感情でやっているわけでは勿論なくて、
●公務員給与増減の基準となっている「人事委員会勧告」の調査方法(官民給与比較)がおかしい
●十分な行政改革を行い、財源を捻出してから公務員給与を上げるという順番が筋である
という理由によるものです。
前者の人事委員会勧告のおかしさについては、都議会議員時代から何度も議会で主張し、ブログにも書いてきました。これが一番わかりやすいかな?
参考過去記事:
東京都職員の給与、2年連続で引き上げ方向…。消費税増税を控えて、世間に「納得感」はあるか?
大手企業とだけ比較して給与を算出させ、さらに消費増税など民間の負担を増やす中で公務員給与アップの断行。なかなか庶民の理解を得るのは難しいのではないでしょうか。
加えてこの人事委員会勧告制度は、給与を上げる時は金科玉条のように従うのに、下げる勧告が出た時は従わないというトンデモない運用が許されており、そもそもシステムの信頼性が揺らいでいる代物です。
参考過去記事:
公務員給与:引き上げ勧告には従うのに引き下げは無視!不祥事続く北区の対応は
こうした公務員給与の決定プロセスそのものを見直すべきだ、というのが大元にある主張です。
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そして現行のシステムでは、自衛隊員の給与改定(増減)も他の公務員と同様に、基本的に民間給与との比較に基づいた人事委員会勧告によって定められています。
まず自衛隊員の給与査定が、経済で左右される民間給与に影響されることは望ましくない、と考えます。
加えて、現在の自衛隊員の給与体系は警察予備隊創設時(1950年!)に警察に準じた給与制度に基づき創設されており、それ自体が自衛隊の実態を把握していないのではないか?という指摘はかねてからなされているところです。
以上を踏まえて維新の会としては、民間の経済状況に左右されない給与体系の考案や、仕事の危険度にあわせた手当を増やすことによる大幅な待遇改善などを提案しています。
個人的にも党としても、自衛隊員の待遇改善・給与増にはまったくもって賛成なのです。
実際のところ、今回はとりわけ新入隊員の給与増なども含まれていたことから、「自衛隊員の給与法案だけは賛成でも良いのではないか?」という意見も所属議員から複数上がりましたし、最後まで議論が続きました。
しかしながら、
・行政改革とともに、小手先ではない抜本的な制度改革を求めていく姿勢が重要ではないか
・例年の採決態度を覆すほどの理由はなく、また例外を一つ認めれば際限なく広がっていくのではないか
などの反論もあり、党全体としては今年も給与増法案に「反対」とする結論が部会内で導かれたところです。
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こうした採決態度に対して、「どう言い訳しようと、自衛隊員の努力を否定するようなことをしたのは問題だ!」という声が届いておりますし、実際に「理由がわからない」といった冒頭のような質問も多く届いています。
例年通りだから・過去に反対討論を行ったから良しとするのではなく、しっかりと「給与増だから反対したのではなく、私たちは自衛隊員の抜本的な待遇改善を臨んでいる」という理由・メッセージを伝え続けていく必要があると思います。
また、「制度改善を!」と言いながら具体的な法案を提出していないというご指摘については、組織として真摯に受け止めなければなりません。
以上を踏まえまして、国民・有権者の理解を得ながら自衛隊員の一層の待遇改善がなされるよう、維新としての国会活動を改善できるよう尽力して参ります。
引き続きご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願い致します。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年11月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。