こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
昨日は財政金融委員会にて、今国会に提出されている通称「外為法」改正案の審議が行なわれました。
「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案」について(財務省HP)
法案審議なので、本来はこの外為法改正案及びそれに関連する項目を質問する審議なのですが…。
お花見を始める(桜を見る会について追及する)議員がいたり、解散総選挙について麻生大臣に問いただす議員がいたりと、法案に少しだけ触れれば何でもアリなんだなということがわかりました(苦笑)。
私の質疑前編は、YouTubeに掲載しましたのでぜひ御覧ください。
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本改正案の柱は、安全保障の観点からの規制強化です。
これまで外国投資家・投資機関が直接投資する=日本の上場会社の株式取得する際、その株式比率が10%を超える場合は「事前届出」が必要とされていました。
どんな投資家が、どのような理由で日本企業の株式を大量に保有しようとするのか。
それを事前にチェックすることで、乗っ取りや技術情報などが不適切な形で海外に流出することを「事前届出」で防いでいるわけですね。
今回の法改正はその事前届出が必要な範囲を、上場会社の株式取得の基準値を「10%以上」から「1%以上」に引き下げて規制の対象範囲を拡大する=規制を強化するわけです。
一方で、それだけでは海外投資家の投資意欲を著しく減退させかねないことから、一定の条件を満たした場合は「事前届出免除制度」が使える仕組みも導入されます。
ただ、総じて規制強化と感じられる側面の方が強く、投資家からは疑問の声も上がっています。
私自身は自由主義経済を標榜するものとして、こうしたものについては入り口は規制を緩くし、出口を厳しくする(事後の取り締まりを徹底する)仕組みが理想的だと考えています。
ただ、現在の日本にはアメリカのCFIUS(シフィウス)のような省庁をまたがる強力な組織を有しておらず、事後の取り締まり強化は現実的に厳しいのが実情です。
中国を始めとする海外資本が世界各国を席巻する中、各国も軒並み規制を強化して自国資本や技術を守ろうとしています。
こうした現状に鑑みて、安全保障上、現状では本改正案のような規制も必要であろうと認識し、投資意欲を減退させないこと等を求めた付帯決議を条件に法改正には賛成いたしました。
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規制上の懸念点なども質疑でいくつか指摘をしたのですが、加えて私が提案したのは海外投資家からの届け出手続きのオンライン化・多言語対応です。
政府は2011年12月に17.5兆円だった対日直接投資残高を、2020年度に35兆円へ倍増する目標を掲げており、まだその目標は未達成です。
そうした中で規制を強化しつつ、さらなる投資を促進するというのであれば、手続きの簡素化・合理化は必要不可欠です。
しかしながら現在、この手続きにおける多言語対応は行なわれておらず、海外投資家は日本の代理人を通じて日本語で手続書類を提出しています。
オンライン化についても、平成19年~25年まで行っていたものの、「利用者がほとんどいなかったので廃止した」という状態です。
オンライン化されていても、対応言語が日本語だけだったら海外投資家・投資機関が使うメリット少ないですよね…。
先進国(G7)の比較で見ますと、まず多言語対応は英語を母国語としないフランス・ドイツで一部英語対応可、そしてイタリアではすべてにおいて英語対応が可能となっています。
オンライン化に至っては米国・カナダ・イタリア・ドイツ、フランスの5カ国ですでに実装済みということです。
この立ち遅れについて指摘し、改善を提案したところ「英語人材の確保などで、すぐには難しい」としながらも、前向きに検討していく答弁が麻生大臣よりいただけたところです。
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財政金融の課題は世間一般から見ればややマニアックな世界ではありますが、引き続き日本が政策で諸外国に立ち遅れることがないよう、建設的な提案を心がけて努力をして参ります。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年11月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。