玉木雄一郎・国民民主党代表の「党所属議員の質問通告などに関する見解」を拝読しました。
まず、森ゆうこ議員による私の自宅住所公開について、玉木代表からわざわざこうしたコメントをいただいたことは、誠意ある謝罪と受け止めました。
ただ、森議員ご本人から私に対し、いまだに謝罪も説明もないことは、全く理解できません。今回の件は、「気づかず、うっかり」ではないはずです。
すでに指摘してきたとおり、森議員は11月7日の質疑で、同じ資料に記載された法人住所をわざわざ読み上げました。
参照拙稿「森ゆうこ議員、国会での名誉毀損に加え、国会でのプライバシー侵害」。
住所をなぜ読み上げる必要があったのかさっぱりわかりませんが、いずれにせよ、同じ資料のすぐ下に(それも、わざわざマーカー・下線まで付した私の名前の上に)自宅住所の記載があることに気づかなかったわけがありません。
参照拙稿:「森ゆうこ議員はなぜ私の自宅住所公開を謝罪しないのか」。
ご本人が、経緯を誠実に説明し、そのうえで謝罪されることをお待ちしています。
また、森議員は10月15日参議院予算委員会で、私に対する事実無根の誹謗中傷を行いました(「国家公務員だったら、あっせん利得、収賄で刑罰を受ける」との発言)。具体的にどの行為のことか説明を求め続けていますが、いまだに回答がありません。
森議員の懲罰検討を求める署名活動を進めており、近く参議院議長に請願提出を考えていますが、国民民主党としても対応いただけたらと思います。
国民民主党の提示した「国会改革案」には、多くの点で賛同します。ぜひ進めていただきたいと思います。
「質問通告」に関して、
- 「様々なやりとりの中で、結果として霞が関の皆さんが遅くまで職場に残ることになってしまったことは事実であり、申し訳なく思う」
- 「想定問答をつくる省庁側からすれば、知りたいのは質問内容」
とコメントされていることには、玉木代表の良心を感じました。さらに検討を深めていただければと思います。
一点加えるとすれば、「国会質問の中味」についてです。
例えば、私の関わる国家戦略特区の担当部局では、この臨時国会の期間中、膨大な答弁資料作成に追われてきました。ほとんどが、私の「利権疑惑」と「質問漏洩」に関するものです。政策の推進や改善に一ミリも貢献しない、完全に不毛な作業です。
何日も徹夜を強いられる以上に、仕事に何の達成感もないことがどれだけ辛いことか、玉木代表は理解されていると思います。私自身も、いわれなき「疑惑」とはいいながら、内閣府の担当者を不毛な作業に巻き込んでしまったことに、本当に申し訳ない思いでいます。
もちろん、政府の監視は国会の最も重要な役割です。こうした「疑惑追及型」の質問をやめるべきと言うつもりは毛頭ありません。
しかし、せめて質問の半分でも、前向きな「提案型」の質問にしていただけないかと思います。
国家戦略特区に関してなら、「提案型」の質問はいくらでも可能です。具体的な地方創生や最新技術活用のプランを現場感覚をもってぶつけ、「政府はやるべきことを何もやっていないじゃないか」と厳しく追及もできるはずです。
そんな質問通告だったら、後ろ向きな仕事ばかりの組織で燻っている中堅・若手官僚たちの心に、火がつく可能性もあります。彼ら・彼女らが少しでも前向きな答弁を用意しようと頑張るような質問を突き付けられたら、国会対応は、「できる限り逃れたい後ろ向きな仕事」から「前向きに取り組める仕事」へと変貌します。
玉木代表はじめ、国民民主党の多くの議員の方々が「提案型」に取り組まれていることは認識しています。そのうえで、より一層前面に出してウエイトを高めていただけたらと願っています。
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原 英史
1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。