東京青梅の「1億円見せびらかし殺人」から学ぶべき教訓

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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先日、東京青梅で「多額の現金を持っている」と吹聴していた男性が殺害される、という痛ましい事件がありました。各社のニュースによると、男性は近所や同窓会に一億円が入ったジェラルミンケースを見せびらかしていたといいます。

acworks/写真AC

この事件から学ぶべき教訓があると感じましたので、今回意見を述べてみたいと思います。

承認欲求をお金の力で満たしてはいけない

承認欲求を満たしたくてたまらない日本人は、少なくありません。承認欲求、というのはマズローの欲求段階説から来ているもので、人間であればどのような文化圏においても持ち合わせている本能的な欲求です。

それなのになぜ、「日本人は」という限定的な言い方をしたのかと言うと、日本人は承認欲求より下位の欲求、「生理的欲求」や「社会的欲求」については満たされていることが多いからです。貧しい国にいくと、「今日食べる物が必要」という生理的欲求に身を置いている人もいますが、日本はそうではないことがほとんどなのです。

多くの日本人は今日の住む場所、食べる場所には困っていません。仕事や学校で仲間がいることで次に超えるべき壁は承認欲求というわけです。この承認欲求を満たすために「お金」で解決しようと考える人がいます。SNSを見れば「こんな高級なホテルでゴージャスに過ごしてる」とか「こんなブランドものを持っている」と自慢をする投稿で溢れかえっています。すべからく、承認欲求をお金の力を使って満たそうとする人たちです。

承認欲求は悪いことではないですし、努力をして結果を出すことで承認欲求を満たそうということは素晴らしいことなのです。が、お金の力を使って満たそうというのは、本来やるべきではありません。今回の事件も、承認欲求をお金の力を使って満たそうという行為に該当すると考えます。

自慢は不幸を呼び込む

承認欲求をお金の力で解決するのはキリがありません。ブランドの財布を買ったことをSNSに投稿していいね!がついても、しばらく経つと投稿者以外はみんなすぐに忘れます。また注目してもらうためには、2回目以降はより財布以上に高額なもの、たとえばブランドバッグなどを投稿しなければ振り向いてはもらえないのです。

さらに見ている人は慣れてきます。一度目は驚いて称賛してくれても、それが二度目、三度目となると飽きてしまいます。でも投稿者は自分を見てもらいたくて、自慢がエスカレートする。これが承認欲求はお金で解決するべきではない理由です。

また、自慢は不幸を呼び込みます。私も昔は稚拙な自慢をして承認欲求を満たそう、という愚行を重ねていた恥ずかしい時期がありました。しかし、自慢をしてもデメリットしかありません。特に謙虚さを美徳とする日本社会においては、「何だよこいつ」と反感を持たれてしまうことが多く、今回の事件のように「こいつお金持っているのか」と強奪するインセンティブをもたせてしまうことすらあります。

被害者の名誉のためにいうと、この事件は加害者が100%悪いもので、被害者は気の毒としか言いようがありません。しかし、自慢をすると予期せぬ不幸を呼び込むことを教訓として教えてもらった気がします。

犯行に駆り立てた「一億円」という金額

殺人を起こすような犯罪者は、全員がまったく常識が通じないバケモノ、という印象を持っている人もいるでしょう。が、実はそうでもないことが、犯罪者と接見をした弁護士などの手記からも分かります。彼らは生まれつきのモンスターなどではなく、「犯罪」という得をしないように思える行為へ、一線を超えてしまう点を除けば普通の人と同じなのです。

犯罪者も損得勘定で動いています。つまりは「人を殺める」というものすごくリスクが高い行為よりも、大きなリターンがあると信じたからこそその行動をしたと言えます。今回の場合だと、それが「一億円」という高額なお金です。もしもこれが、10万円、100万円だと犯人も行動を起こさなかった可能性があります。が、超えてはいけない一線を超えさせてしまったのが、この金額だったのではないでしょうか。

ちなみに後に報道されたニュースから、実際には一億円の入ったジェラルミンケースには「お金に見せた紙」が詰まっていたそうなのですが…。

お金持ち、成功者はリスク管理が必須

お金を持っている人、社会的に知名度があって成功している人はリスク管理が必須です。

某YouTuberは住んでいる場所を特定されないように意識をして、動作録画をしているようです。また、有名人はストーカー被害に悩まされたり、雑誌社のスキャンダル記事のリスクがあります。「口は災いの元」といいますが、余計なことをしゃべりすぎたことが、付け入るすきを与えてしまうことになるのです。

「これから海外旅行にいきます!」とSNSに投稿をすると、空き巣に入られてしまうリスクに晒される時代ですから、「現金という、強奪できてしまう形態で資産を持っている」ということを触れ回るのは、それを欲してたまらない人を刺激し、自らを想像もしない大きなリスクに晒してしまうのです。

この事件からは様々な教訓を得ることができた気がします。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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■2020年3月にダブルセミナー開催。昭和を令和にアップデートし、強く生きるための先端の知識と知恵をお渡しします。※返金保証付き
【個の時代の歩き方セミナー @東京】2020年3月7日(土曜日)
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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。