こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
今週末は知人からお誘いを受けまして、山形県鶴岡市の「サイエンスパーク」で行なわれる冨田勝・慶應義塾大学先端生命科学研究所所長の勉強会に参加しています。
鶴岡市は現在、最先端テクノロジーベンチャーが集積し、地方創生の成功例として注目を集めつつある場所です。
人口減少や産業衰退に悩み、疲弊する地方都市の典型例ともなっていた鶴岡市ですが、この状況を打開するために2001年、慶應義塾大学の研究所を誘致したところから変化が起こりました。
参考:ベンチャーで地方創生、山形の「鶴岡モデル」成功の理由(ニューズウィーク日本版)
色々レポートしようと思ったけど、あまりにも上記の記事が上手くまとまっているので書く気を失った(苦笑)。
いまや産官学連携のモデル都市ともなった鶴岡市には、慶應義塾大学研究所を中心として7つのベンチャー起業が発足し、うち1つは上場。
まだ全体として人口上昇にまで転じてはいないものの、研究やベンチャー起業を支える若年層人口は2009年以来転入超過となっています。
さらに昨年にはサイエンスパークの隣に民間主体の開発でモダンなホテル・多目的施設もオープンし(今日はここに宿泊)、いまだに成長・成功を継続しています。
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で、私は政治家なので、研究内容やテクノロジーより「なぜ政治的に、この地域創生策は成功したのか?」というところに着目してしまうわけですが。
やはりそこには、意思決定をした政治家・リーダーの存在感が光っています。
冨田教授の話によれば、その矢面に立っていた一人は、町興しの起爆剤として研究所の誘致を決定した前市長。
大学誘致自体は奇抜な政策ではないものの、研究内容が先進的で尖っているものほど成果が出るかは疑わしく、また時間がかかります。
実際に鶴岡市議会からはたびたび、野党議員を中心に「この投資を継続する意味はあるのか」「(高齢者福祉など)納税者のために他にやるべきことがあるのでは」という突き上げを食らっていたそうです。
こうした批判・指摘に対して前市長は
「これは現在の納税者のための政策ではない。未来への投資・種まきだ」
「種まきをしなければ、この街は確実に衰退・消滅する。他に方法があるなら教えて欲しい」
と真っ向から反論し、研究・産業育成に予算と力を継続して注ぎ続けたそうです。
またその過程において、結果的に国から大きな交付金が獲得できず、それが逆に鶴岡市の自立性・自律性を促し、独創性を発揮できて良かったと冨田教授がおっしゃっていたことが印象的でした。
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地方創生のメニューやお金ががこれでもかっ!とバラまかれている現在では、地方自治体が何かをスタートすることは難しくなくても、成果につながるまで継続するのは至難の業。
まとめると、
・議会の反発を跳ね除けて、未来のために研究開発支援を継続した市長の胆力
・それを受けて陣頭指揮をした研究者(冨田教授)の先見性とリーダーシップ
・国からの過干渉を避けた独自性の保持
このあたりがキーポイントになりそうです。
IT環境の進化により、東京に集積しなくても先端研究が可能になった時代だからこそ、東京・都市部以外でイノベーションが起こることは可能ですし、それは分散型社会にとって極めて望ましいことです。
紐付き補助金ではなく、減税や規制緩和によりこうした自発的な取り組みが地方で盛んになるよう、引き続き私も研究と政策提言を続けていきたいと思います。
東京VS地方のお話も盛り上がったのですが、それはまた日を改めて…。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年12月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。