東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。
連日、イラン情勢について記事を書き続けてきました。
パーレビ長男の講演
さて、今日は下記のNHKニュースを単なる事実としてのみ捉えるのか、それとも深読みするかは人それぞれですが、私の頭にある記憶と記録を今日は記しておきます。
これは、イラン革命で国外へ追われたパーレビ国王の長男がワシントンで講演したというものです。
この中でパーレビ氏は、イランが今月、ウクライナの旅客機を撃墜したことについて「国際的な監視があったからこそ、イラン政府は責任を認めざるをえなかった。乗客に外国人がいなかったら真実は明らかにならなかっただろう」と述べ、イランの現体制には隠蔽体質があると非難しました。
そのうえで、イランの現体制は国民への弾圧を続けるなど、態度を改める気配はないとして、「われわれはイランの現体制の終えんを目の当たりにしようとしている。最高指導者ハメネイ師は退くときが来た」と述べ、イランには体制の転換が必要だと主張しました。
トランプ政権は、イランに圧力をかけ続けるとともに、イラン国内で起きている政府への抗議デモなどを支持する姿勢を見せていて、これに乗じる形でイラン国外にいる反体制派も活動を活発化させています。
過去を振り返ると
2017年にイランで反政府デモが起きました。
これは当時のトランプ大統領が「イラン核合意」からの一方的な離脱で、かなり厳しい経済制裁を課した事もあり、イラン国内の景気が悪くなる中で、生活改善を求めるデモが突発的に拡大したものとされていました。実際に、イラン革命防衛隊も投入されデモ隊を制圧にかかったのです。
ポイントは、この時に「レザ・パーレビ」という名を唱える民衆がいたのです。実際にはイランの若者達の総意ではないにしても、一部にでも1979年で倒れた「パーレビ王政」のような体制を求める声が上がっていたのです。革命から38年後の事で、過去のパーレビ王朝を生きてきた世代ではない層が口にしていました。
つまり、現在のアメリカとイランの緊迫情勢に対して、パーレビ長男が登場したのではなく、前々から伏線はあったという事なのです。
しかも、今回レザ・パーレビが講演を行った場所が「ハドソン研究所」です。ここはトランプ政権に最も近いシンクタンクとして有名で、所長のケネス・ワインスタイン氏が空席となっている駐日大使に指名されるという報道が出たところです。
そしてイラン革命も国外から
私は、今回のレザ・パーレビの呼びかけについてデジャヴなんですね。
それは1979年にイラン革命で最高指導者に就いたホメイニ師も、パーレビ王朝時代には国外にいて、イラン体制変革の必要性を発信していました。当時と現在で異なるのは、イラン国内における情報網が発展していること。以前よりも格段に対外情報が入りやすくなっています。当然、イラン国内向けに発信するメディアもそれぞれの思惑があり、一概には言えませんが。今、イラン国内ではウクライナ航空機の誤射墜落をきっかけに最高指導者への批判も出始めているようです。
その一方で、ロウハニ大統領は核合意の前よりも1日当たり多くのウランを濃縮していると会見で語りました。ウラン濃縮の生産能力が着実に高まっていると強調する演説を行った事で、ヨーロッパ各国も緊張している状態にあります。
様々な情報戦が展開される中で、新日国家イランと、どのような距離感で進んでいくのが世界平和に貢献できるのか考えなくてはならないのです。イランは昨年、核合意の一部を停止すると宣言し、ヨーロッパ各国と協議をしていました。
川松 真一朗 東京都議会議員(墨田区選出、自由民主党)
1980年生まれ。墨田区立両国小中、都立両国高、日本大学を経てテレビ朝日にアナウンサーとして入社。スポーツ番組等を担当。2011年、テレビ朝日を退社し、2013年都議選で初当選(現在2期目)。オフィシャルサイト、Twitter「@kawamatsushin16」