書評:小川郷太郎著『世界が終の棲み家 ~新しい日本のかたち~』

先日、柔道の師範と柔道大好きな小川郷太郎さんと会食する機会をいただき、早速、小川さんの『世界が終の棲み家 ~新しい日本のかたち~』(文芸社)を拝読しました。

フランス、フィリピン、ソ連の各大使館勤務の後、韓国大使館公使、ホノルル総領事、カンボジア大使、デンマーク兼リトアニア大使、イラク復興支援担当大使兼アフガニスタン支援担当大使などを歴任された小川さん。

世界各国と日本を比較しながら、外から見た日本の姿日本の「国家の品格」への熱い思いが豊富なエピソードとともに語られます。

といっても堅苦しい本ではなく、情景描写などがとても色鮮やかで、旅小説・タイムスリップエッセイとしても面白いものです。また、世界の赴任地に柔道着を持っていかれる姿にもとても共感を覚えました。

私が特に印象に残ったことは2つ。

1)韓国
韓国の歴史や立場を踏まえながら、事実と異なることにはしっかり抗議し、韓国ではほとんど報道されない日本の立場を何度も韓国語で講演・寄稿される姿

2)カンボジア
世界最貧国の一つカンボジアに対して、相手の立場や意向を尊重しながら、道路や橋、文化遺産の修復など多様な形で支援する姿

外交官を志す人もそうでない人も一度読んでほしい本です。世界における日本の位置づけ、役割がよく分かります。

<井上貴至 プロフィール>


編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2020年2月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。