オリンピックが中止にならないためにも!

新型コロナウイルスの感染者の乗船が確認され、検疫のために横浜港沖で停泊をしていたクルーズ船から検査結果が判明した31人のうち10人の陽性が確認されました。

一昨日、私は知人らとの食事をするために横浜の高層階にあるレストランへ行きました。レストランからはベイブリッジの向こう側に煌々と光るそのクルーズ船がはっきりと見えました。実はクルーズ船の規模が大きいのでベイブリッジの内側には入ってこれないので、引き続き昨日まで停泊していた場所でしばらく留まる可能性が高くなっています。

検査結果が陽性だった10人は海上保安庁の船で上陸し、そこから横浜市の救急車で神奈川県内の医療機関に搬送されました。横浜市民病院などには陰圧室という、室内の空気や空気感染する可能性のある細菌が外部に流出しないように、気圧を低くしてある病室があることを、横浜市長をやっていましたので私もよく知っています。

病院に運ばれた乗客以外の乗員。乗客約3700人はクルーズ船の客室内で待機してもらう方針を、安倍総理が昨日表明しました。正直、14日間は長いですが、致し方なく、基本的にはこれでいいと私は思います。

昨夜の段階で中国の感染者数は2万4324人、死者562人になりました。
国内でも感染者が増え23人となっています。これとは別でクルーズ船から20名の陽性反応が出ています。

1月30日に、私はこう書きました

「最悪の事態にしないために政府は強制隔離などを果断に判断すべきだと思います。そして日本人国民はその決定に我々は文句を言わないこと。そうした覚悟が国民にも求められます。」

政府には最悪を避ける判断を果断にしてほしいです。

私が過去に経験した一例をお伝えしておきます。

2003年の5月28日から6月3日まで、横浜国際総合競技場“日産スタジアム”で東アジアサッカー選手権の開催が予定されていましたが、私はこれを中止すべきだと考えていました。

なぜならば2002年11月に、やはり中国で発症したSARS(重症急性呼吸器症候群)が感染拡大し、3月には中国からシンガポールに向かったアメリカ人がひどい肺炎になり、ベトナムで緊急入院し、香港の病院へ移送され死亡しました。その際に手当てなどをしたベトナムの医療関係者26人が死亡しました。

世界保険機構(WHO)は3月12日に史上初めて「緊急注意喚起(Global Health Alert)」を発し、世界的な注意を呼びかけました。2003年3月末時点でのSARS感染者数が1622人、死亡者数が58人でした。そしてその後も感染者数が増えるなか5月を迎えました。

しかし、所管官庁の厚生労働省も主催者である東アジアサッカー連盟もそして日本サッカー協会も誰も中止を判断しませんでした。それは、前年にサッカーワールドカップ日韓大会が行われてサッカーが盛り上がっていました。そしてジーコ氏が日本代表監督に就任して、さらに盛り上がりをみせチケットは完売していました。

ですから、誰も決断できないまま5月を迎えていたわけですが、いよいよとなって当時横浜市長だった私は5月14日、「横浜国際総合競技場での開催は認められない」として、東アジアサッカー連盟に延期を要請しました。その結果、横浜市から要請があったことを理由に東アジアサッカー連盟は延期を決定しました。

けれども、横浜市(長)は主催者ではなく、命令を出す立場でもありません。しかし、当然私には批判が集中しました。

「なんで中止にしたんだ!楽しみにしていたのに」「チケットの払い戻しなどで面倒になった」などなど、色々聞きました。けれども7万にが集まる国際総合競技場に1人でも感染者がいたとなったらどうなりますか。もちろん中国からも、香港からもチームが参加し、サポーターも大勢が来場するわけですから。

私は東京オリンピック・パラリンピックを本気で開催したいのであれば、もっと厳しくしないと駄目だと思います。現在の日本の規制はこうなってます。

当分の間、感染の有無にかかわらず下記に該当する人の入国を拒否する
・入国申請日前14日以内に湖北省滞在歴がある外国人
・湖北省発行の中国旅券所持者

今後は対象地域の拡大も検討する

こうなっていますが、今この間も中国の他の地域からどんどん人が来日しています。私は、正直言って開催できるのか疑問です。

小国ですけれどもミクロネシアという国があります。グアムよりさらに南に位置し、太平洋上の赤道付近に607の島々と環礁から構成される人口11万人のミクロネシアでは、日本を含む感染者がいる国からの直接入国を禁止しました。すなわち、非感染国で14日間経過してからじゃないとミクロネシアには入れないということです。こういった島嶼国は感染症から守るための適正な措置だと思います。

ということでここは鬼になって阻止しないと大変なことになっていきます。

「日本には行くな」「選手は派遣できない」などとなりかねませんよ。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年2月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。