医療保険が使えないから、コロナウイルスPCR検査体制が整備できないとの説明は納得できない。全国一斉の学校休校という感染拡大を止める措置をとるなら、まず、検査体制を整備して早期発見、早期自宅療養を徹底すべきではないのか。感染の拡大による経済的影響を考慮すれば、PCR検査のコストなどたいしたことがないはずだ。
今週中に保険が利用できるようになり、その費用は1万円台と報道されていた。1日1万人の検査をしても2億円弱で、1か月続けても40-50億円だ。軽症感染者が勤務を続けて感染を急拡大させれば、経済的損失は甚大だ。民間検査企業を総動員すれば韓国より検査可能数が1桁少ない現状はありえない。是非、韓国のような検査体制を早急に確立して欲しい。
ある民間検査企業のウエブページには「検査は厚生労働省と国立感染研究所からの受託だけで、一般の医療機関からは受け付けない」とあった。検査数が増えないボトルネックは厚生労働省と感染研であることが明らかだ。
国民の命より、自分たちの面子が優先するのか?軽症者の検査をしないので、日本では正確な重症化率・致死率が永遠にわからないだろう。いったい誰が、このような検査体制の遅れをもたらしたのか、落ち着いた時点で絶対に明らかにすべきだ。
編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2020年3月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。