『見通し不安なプロジェクトの切り拓き方』

見通し不安なプロジェクトの切り拓き方(2020年、前田考歩・後藤洋平著 宣伝会議)を拝読しました。その名のとおり、見通し不安なプロジェクト、ルーティンワークではない前例のない仕事をどう進めるかについて書いた本です。

簡単に言えば、全体像を可視化する「プロジェクト譜」を共有することで、メンバーのコミュニケーションを図るということ。

「プロジェクト譜」では、今ある8つの条件(メンバー、ビジネスモデル、予算規模、環境、納期、競合、クオリティ、外敵)、中間目的勝利条件を線で結んだ共通のフォーマットに落とし込むことを推奨します。

巻末の押井守監督と、著者との対談も秀逸。「作家性」という言葉で覆い隠されがちな押井監督の「プロジェクトの進め方」の技術が少しずつ明らかになってきます。

「(個々のプロジェクトで)(次の仕事にたどり着くための)勝利条件をいかに発見するかは企業秘密(笑)」と応えながら、優勝した日に解任されたレアルマドリードの監督を例に、勝つことが勝利条件ではない場合もあると力説。「何を失っていいか、最初に決めたやつが勝つ。」という。

ほとんどのビジネスマンにとって、本書の内容はある程度実践していることでしょうが、一つでもヒントになればと思います。


編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2020年4月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。